手指の故障、ジストニア、腱鞘炎に対処する (1) – アレクサンダー・テクニーク的視点より

手指の故障、腱鞘炎、ジストニアに悩んでおられる方が、とくに音楽家の方に多くいらっしゃいます。 指が思うように動かなくなったり、思わない方向に動いてしまったり…。 「ジストニア」で検索すると、読んでいて辛くなるような、症状についての話が多く出てきますが、原因や解決法は、医学的にもよくわかっていないと言われているようです。なので、ここでは医学的なことはいったん置いておいて、「手のしびれ」「手の痛み」「指が思うように動かなくなったり、思わない方向に動いてしまったりして、演奏や日常生活に困っている」というようなときの対処についてアレクサンダー・テクニーク的に、考えてみたいと思います。 私が見たところ、ジストニアになる人、手を使いすぎて故障させてしまう人ような人は、非常に真面目で努力家で、目的意識を持って練習を継続することができる人に多いように思われます。そのような努力ができるという能力はもちろんすばらしいことですし、その努力によって今まで成し遂げてきたことも数多くあったことでしょう。それが悪いわけではありません。ただ、手の痛みが治らなくなったり、ジストニアになりかけていることに気...
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本番などでの緊張(「あがり症」)について

(音大生向けに書いた文章を転載します)。 本番で緊張しやすい、あがりやすい、ということに悩んでおられる方が多くいらっしゃいます。 どんな状況で緊張しやすい、あがりやすいでしょうか? 多くの場合、緊張しやすい状況というのは、その人にとって大事な状況なのではないかと思います。 たとえばお客さんがたくさん来る本番、大事な人が見に来る舞台、尊敬する人が見に来る舞台など…。 演奏以外でも、就職活動での面接や、教育実習等の場面でも、緊張することがあると思います。 ふだんから緊張しやすいという方は、(前回も行っていただいた)「体の動きの気づきのワーク」を続けることで、体への気づきが増し、体がだんだん自由になってくるのにともなって、緊張しやすい体質も少しづつ変わってくるでしょう。 (また、「ふだんは本番と違って緊張しない」と本人は思っている場合でも、無意識的に体を固めながら演奏やそのほかのことをやる癖がある場合、そのような体を固めながら物事を行う習慣がほぐれてくると、本番で精神的に緊張したときでも体が自由に動くようになってきます)。 緊張したり、あがったりするのは、その機会...
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音楽大学の授業でやってることを箇条書きにしてみました(2019版)

音楽大学で「音楽家のための心身論」という名前で週一回の授業を受け持つようになって4年目がもうすぐ終わります。ひとりひとり観られる人数がよいので定員20名にさせてもらっているのですが、毎学期、嬉しいことに希望者が多く、抽選で選ばれた、ピアノ、指揮、声楽、管楽器など専攻の4年生の学生さん方に教えています。週1回14回の授業なので、徐々に生徒さんのなかで経験が深まって変化していく様子が見て取れて、私もやりがいがあります。 「演奏のときに、手や指のことは考えても、それ以外の体のことを考えたことがなかった」と言う学生さんも多くいるので、体に意識を向けることの、演奏への影響を実感できるということだけでも大きな意味があるようです。 音大生なので、みなさん演奏は基本的に上手。 でも、ひとりひとりが、さらに自分のからだとこころに対する信頼感を、自分の核にもつことで、持てる才能をさらに生き生きと伸ばしていったり、また壁にあたったときにも耐えて乗り越えていける知恵を持って、今後の人生につなげていっていただけたらと思うのです。 授業は、学生ひとりひとりの今の課題や気づきを聞きながら、進めて...
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練習量が増えてくると腕の痛みが出てくるというギタリストの方

練習量が増えてくると腕の痛みが出てくるというギタリスト&ギター教師の方。 姿勢もなんだか、前にお会いしたときより猫背に…。 アレクサンダー・テクニークをはじめて、姿勢に気をつけるようになったとのことだが、姿勢の気をつけ方が、細かく部分的になっていて、「全体」という意識が薄くなってしまっていたようだった。 自分全部で弾く そこに戻ることが、やはり大切。 人間は機械でないので、姿勢や動きの細かいところまで、意識でコントロールする必要はないのだ。(コントロールするつもりになってると、カクカクと、動きが機械みたいになってきたりするので興味深い)。 そういうことは、体がやってくれる、神経システムがやってくれる。 ギターを弾くということは、指だけの仕事ではなく、胴体も関わっているし、胴体は呼吸して動いている、固定させることはない。 気づかないうちに固定させていたことに気づいたら、動いていいんだな、ということを思い出す。意識が変わると体が変わる。 レッスンは、その人の今の課題がどこにあるかを観て、気づいてもっと楽だったり自由になったりする可能性にひらいて...
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続:姿勢についてのアレクサンダー・テクニーク的考え方(作業中、演奏中の姿勢について)

先月書いた、「姿勢」をよくすることについての(私にとっての)アレクサンダー・テクニーク的考え方の続きです。 先月の話をまとめると よい姿勢、本来無理がないもの そして、よい姿勢は、動きのなかにあるもの そして、デスクワークや、作業中の姿勢、楽器を演奏しているときの姿勢についてまた書きたいというところで終わっていたので、続きを書こうと思います。 「よい姿勢」というと、イコール「まっすぐ」をイメージしている人が多いかもしれません。 私は、そうとは限らないと思うのです。 たとえば机の前に座ってペンでものを書くとき、 「まっすぐ座ろう」ということを意識して座り、 それからペンを持って紙に向かうと、 「ペンを紙に向かわせる」動きと、「座っている」という動きが一致していない、べつべつのものになってしまっていることがあります。 そうすると、「書く」動きを、手だけでやることになってしまいやすいのです。 手だけで「書く」ことをやると、手によけいな力が入りやすく、力が入っているわりにはその力が対象のペンと紙まで届かなくて、力強い文字が書きづらくなったりすることが...
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