アレクサンダー・テクニークのレッスンに継続して来られているTさんが、感想を送ってくださいました。
アレクサンダー・テクニークのレッスンは、生徒さんの問題意識や、生徒さんのそのときの状態によって、アプローチのしかたも、結果として得られるものも、少しづつ違いますが、たとえばどんな感じなのか、多様なレッスンの一端を知る手がかりとして、ご本人の許可を得て掲載させていただきます。
「長年、自分の身体が重くて疲れやすかったりしたので、いい年齢になって、何か手に職をつけたいと考えたとき、整体やアロママッサージの道を選びました。しかし、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受ける前は、学校で学んだ人体の骨格や解剖学について、他人の身体を観るとわかるのですが、いざ自分自身の身体となると、肩甲骨や骨盤ががどこにあるかとか、頬やアゴはどのへんなのか…等などがまったく実感できず、わからないままでおりました。人には、ここが肩甲骨で…などと語りながら自分の身体の上では捉えられないもどかしい感覚に悶々としていたところがありました。
アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けてきた現在では、自分の身体~胴体...
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ボディ・マッピング関連
「腕の力を抜く」 (1)(続 力を抜くことのむずかしさと方向性)
前回、「力を抜く」ことのむずかしさと「力を抜く」について、主に胴体の話からしてきました。
胴体を、力を抜こうとして下向きに押し下げるのをやめて、上向きに広がっていく(「ぶらあがる」)ことを思うと、呼吸もしやすくなるし、手足も動かしやすくなる、という話でした。
今日は、「腕の力を抜く」ということについても、書いておこうと思います。
腕についても、ダランと下向きにぶらさがるのがよい、と、よく言われたりしますが、これについても、もう少していねいに見てみる必要があると思います。
腕をぶらさげようとして、押し下げて、重くしてしまっていないか、ということです。
たしかに、不必要に腕を持ち上げた状態で固めて使っている場合もあるので、それに気づいたら、やめる必要があります。でもだからといって、押し下げすぎるのにも注意が必要です。
これには腕の構造を見てみると、役に立つかもしれません。
(以下の説明は言葉だけではわかりにくいかもしれません。後日、絵をのせようと思いますが、言葉が苦手な人は、すみません、理解できなくても気にせず、流し読みしてください)。
腕を骨格と...
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楽器を構える~姿勢について
littlesoundsでのアレクサンダー・テクニークのレッスンのなかでは、楽器演奏や日常動作、家事、趣味や仕事の動きや姿勢など、その人が普段やっていることをアクティビティとして行うことがよくあります。
まず基本的なワークをやった後、レッスンの後半にやることが多いです。
やはり自分がいつも関心をもってやっていることに応用できることが実際的にわかると、嬉しいし、モチベーションがあがりますよね。
アクティビティのやり方は、それぞれのケースによってさまざまですが、最初のうちによく観ることのひとつは、構えるまでの動きについてです。
たとえばヴァイオリニストの方だと、
「じゃあ、ヴァイオリンを弾いてみますか?」と言うと、素早くてきぱきと、傍らに置いたケースからヴァイオリンを取り出し、構えます。
楽器を構え終わったところがスタート地点、というように、そこで初めて一回止まる方が多いです。
それで、「この構える姿勢は、どうなんでしょう?」と、そこで初めて自分の使い方を見ようとします。
でも、そこに至るまでの構えるところまでの一連の動き・・・
~楽器ケースを見て、1、2歩進み、かがんで、楽器ケ...
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座り仕事で体全体を使う~骨盤のことなど
何かをやるとき、「からだ全体で行う」ということが大事です。
たとえば楽器を演奏する場合でも、パソコンに向かって仕事をする場合でもそうです。
たとえばパソコンに向かって仕事をする場合、顔がパソコンのほうに吸い寄せられるように近づいて、体のほかのところはおろそかになっている、ということはよくあるのではないでしょうか?
単に姿勢を正す、ということではなく、体全体が、見ることをサポートして、腕がタイピングすることもサポートしている、という意識が大切です。
座り仕事で「体全体を使う」ことを考えるときに役に立つのではないか、ということが、前に書いた、頭と背骨の上向き方向(プライマリー・コントロール)と、骨盤のことです。
体の骨や、構造がどうなっているか、というようなことは、
かならずしもすべて頭の知識として知っていなくても、
体が自分でコントロールしてくれるのにまかせていれば大丈夫で、
知らなくても、体のデザインを邪魔していなければ、本来それでOKなのですが、
知らないうちに起こった頭での思い込みが、体の使い方を制限してしまう場合があります。
そんなときに「からだの地図を見直す」(”ボ...
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プライマリー・コントロール
アレクサンダー・テクニークのレッスンでは、頭と首と胴体の関係性を観てみることからはじめることが多いです。
私たちはいろいろな刺激を受け取って行動するとき、あるいはただ、そこに存在するだけでも、
・首が自由で、頭が高い位置にあり、胴体が長く広く自由
という状態と、
・首を無意識に固めて、頭で胴体を押し下げている
という状態を行ったり来たりしています。(ちょっと単純化した言い方ではありますが)。
その違いによって、自分全体としての存在の質や、なにかをしている場合なら、することの質や、やりやすさが変わってきます。
実際には当然それ以外にたくさんのことが起こっているわけですが、それ以外のことが気になるとき、それ以外のことを観たいときにも、まず、頭と首と胴体の関係性から観ていくことはとても役に立ちます。
頭と首と胴体の関係性のことを、アレクサンダーの用語で「プライマリー・コントロール」と言うのですが、「プライマリー(primary)」というのは英語で「まず第一の」という意味なのです。
首を固めたまま、腕や脚を自由に使うことは難しいし、
首を固めたまま、バランスを取ることも、...
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