「『やりすぎていることを少なくしていかないといけない』という考えに、ずっと抵抗があったんです」。
と言われた生徒さんがいました。
まだまだ、やらなきゃ、と思う気持ちをおさえられないと。
お話を聞いていて思ったのですが、
今まで私がアレクサンダー・テクニークの説明のなかでよく言っていた「やりすぎを、やめていく」という言葉では、伝えきれていないことがあったのかもしれません。
言葉にしてそれを伝えてくださったその方に限らず、そこらへんのところに抵抗を感じていらっしゃった人は、もしかすると少なくないのかも、と、思い至りました。
アレクサンダー・テクニークで言う
「やりすぎを、やめていく」というのは、断捨離とは違います。
(断捨離について誤解があったらごめんなさい。その場合はご教授願います)。
今まで大事にしてきたものごとへのこだわりを手放さないといけない、わけではない。
今まで大事にしてきたことを、やり続けてかまわない。
練習が必要なら、練習し続けてかまわない。
ただ、練習するときの「自分の使い方の質」を見直すと、
同じこと...
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抑制(inhibitionインヒビション)
デビ・アダムスさんのワークが終わって-1 ”reference point”
ボストンのアレクサンダー・テクニーク教師デビ・アダムスさんの2度目の来日の後、3週間が経ちました。
今回も、学ぶことが多かったです。
アレクサンダー・テクニークを学ぶときには、いつもそうなのですが、
新しいことを学ぶというより、本質的なところに立ち戻る、ということが起こった、と感じます。
それは長年、学び、教え続けていても大事なことで、逆に、慣れてくることによって、知らずについてしまう癖がある。それを見直したり、手放したりするきっかけが、ときどき必要だと感じます。
デビが帰国した後、感想をシェアしようと思っていたのですが、4日間のワークのなかに、考えるネタがいろいろありすぎて、なかなかできませんでした。
でも書けるところから、何回かに分けて書いてみたいと思います。
デビさんは、"reference point"(レファレンス・ポイント)という言葉を紹介してくれました。
この言葉はFMアレクサンダーの直接の弟子のひとり、フランク・ピアス・ジョーンズがよく使っていた言葉だそうです。
以下は、デビさんの言葉そのものではありませんが、ワークでの自分やほかの人の体験...
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テーブルワークは、やめていくプロセス。
レッスンやワークショップなどでいただいた、アレクサンダー・テクニークの原理やその他にかんする質問に、答えていくコーナーの続きです。
Q テーブルワークをやってもらうととても楽になります。また、立って腕を動かしてもらうだけでも、とても楽になります。なぜなのでしょうか? 正しい位置に来てるからかな、と思うのですが、その正しい位置が、自分ではわかりません。
テーブルワークは、そのような、「やめていく」というプロセスを体験するために行う、といえます。私たちは、ただ立っているときでさえも、緊張がゆるまないまま立っていることがあります。
自分を支えようとするときに、体を固めることによって支える癖がついてしまっているのですね。
床やテーブル(台)の上に寝た姿勢だと、自分を支えようとするときの癖が出にくいので、緊張からゆるんでいきやすいのです。
アレクサンダー・テクニークのレッスンでは、動きを使ってやるワークも多いですが、そんななかで寝た姿勢でワークをやるのは、そのためです。
立って緊張をゆるめようとすると、ゆるめようとして自分を下向きに押し下げてしまうことが、よく...
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何もしない手
先日、某アレクサンダー・テクニークの教師養成コースで一日クラスをやる機会をいただきました。
どんなことをやるか、いろいろ考えてみましたが、手を使ってお互いにワークすることを中心にやることにしました。
「手を使ってのワーク」を、教師養成コースでどのように学ぶかについては、世界各地にあるアレクサンダー・テクニークの学校でも、学校ごとに違いがあります。最初の1年は全然それをやらせてもらえない、自分の面倒を自分で見られるようになってはじめて、手を使って人にハンズ・オンさせてもらえるようになる、というアレクサンダー・テクニークの学校も少なくないらしいです。
それぞれの方針に意味があって、よさがあると思いますが、今回は、私自身が学んできてよかったやり方でやってみることにしました。(「好きなようにレッスンしていただいていい」と責任者の方に言われていたので)。
私自身が最初に学んだ京都のコースも、後になって学んだボストンのコースも両方、比較的最初のころからお互いに手を使ってワークしていました。
京都のコースではそれでも、一年生は最初の数ヶ月はワークを受ける側にまわることが多かったですが、ボスト...
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からだの反応、感情的な反応
前回、
「何か『やろう』と思ったときに、すぐにやらないで、自分のどこが反応するか、それに気づきを向けてみる」
「すぐに行動しないで、『やろう』と思ったあとに、間をおいてみる。」
ということを書きました。
アレクサンダー・テクニークでの言葉でいう抑制(inhibition/インヒビション)です。
その補足なのですが、
このときの気づきが、物理的な意味での体の反応だけに向いていると、限界があることがあります。
「気づくのだけれど、どうにもできない、変えられない」というふうになりがちです。
そのとき、注意を広げてみると、体の反応と一緒に、感情的な反応もセットになって一緒に起こっていることに気づくでしょう。
逆に、感情のほうに先に気づく人もいると思います。
人によって、体の反応のほうに先に気づきやすい人と、感情的な反応のほうに先に気づきやすい人とに分かれるかもしれません。
そこで、体の反応に先に気づいた人はそれにともなう感情を観察してみてください。
感情的な反応に先に気づいた人はそれにともなう体の動きを観察してみてください。
感情的な反応でいえば、たとえば、
「怖い」とか
「人...
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