水泳の北島康介選手が、29歳でロンドンオリンピックに再出場を決めたというニュースを見ました。
水泳は、引退年齢が若い競技だと言われているらしいのに、すごい!
以前読んだ、北島選手の著書『前に進むチカラ』という本を読み直してみました。
北京オリンピックで2度目の金メダルを取ったあと、引退説が流れて、本人も、続けたいのかやめたいのかわからず、休んでアメリカに渡ってからの話からはじまっていて、とても興味深かったです。
北京オリンピック後、半年は、まったく泳ぐこともしなかったそうです。
休むことの意義、自分で選択をしなおすことの意義、成功体験を手放して新しいやり方に挑戦することについてなどが、書かれていました。
この本のなかに、「頑張りすぎない勇気を持つ」という章があります(第6章)。
長年の習慣であった1日2回の練習を朝の1回だけに減らすことにしたことについてのエピソードが書かれています。
「気持ちの入らない一万メートルより、気持ちがしっかり乗った五千メートルの方が自分を伸ばしてくれるはずだ。決断には勇気が必要だったが、今の自分を受け入れ、さらに進化するために、過去の習慣へのこだわりを捨てた」。
「練習時間を半分にしたことが自分の泳ぎにとってマイナスにならないかどうか、最初は不安もあった。しかし気力、体力が充実した状態で泳いでいると、日々自分の進歩を実感することができた。午後の時間帯に自分の泳ぎについて考える余裕ができたことも大きかった。とことん水泳について考えることは、厳しい練習と同じくらいに僕を進化に導いてくれるような気がした。その後、順調に記録が伸び、自分の選んだ道が間違っていないことが確認できた。」
「僕が気付いたのは、努力とは頑張っている時間だけでは計れないということだ。」
「勉強でも仕事でもかまわない。一時間頑張らなければならないことがあるとしたら、まずは三十分集中してやってみる。短い時間でも集中して事にあたれば、効果はあるはずだ。」
「思えば、今僕が前向きに水泳に取り組むことができているのも、北京オリンピック以降の半年間、しっかりと休む時間があったからだ。もしあの頃、誰かに泳ぐように促されたり、自分で無理やりハッパをかけるような形で水泳を再会していたとするならば、途中で泳ぐのがイヤになって、今頃は止めていたかもしれない。頑張らない半年間が僕に新しい道を与えてくれた。思い切って足を止めたことで、前に進もうとする自分の意思が湧いてきたのだ。」
一流アスリートの北島選手の言葉ですが、アレクサンダー・テクニークの考え方にも、大いに共通するところがあると思います。「やりすぎをやめる」ということは、アレクサンダー・テクニークのなかで大事な考え方です。
北島選手がこの夏、若さにまかせて力技でやらなくても一流であり続ける姿を見せてくれると思うと、何かロマンを感じます。
この本のなかにある、北島選手が新しく出会ったデイヴコーチの指導法や人となりも、興味深いです。毎日、練習の方法も時間も違うという話とか。世界的に有名なコーチなのに個人的なコーチフィーのお金を取ろうとしないという話とか。そして最後の章は、仲間がいることの大切さで締めくくられていました。
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