ボストン近郊の学生都市ケンブリッジのAlexander Technique Center at Cambridgeに来ています。
今、カフェでマフィンを食べながら、これを書いています。
アメリカではマフィンは、食べきれないぐらいすごく大きいけれど安くておいしいです。(アメリカでおいしいものといえば、マフィンとエスニックフード!)
昔の記録を振り返ってみたら、ここボストンの学校にはじめて来たのが2001年で、今回は9回目の訪問です。去年、校長であるトミー・トンプソン先生が初来日しました。日本では通訳もつくので、こっちで英語で聞いてわからなかった話もわかって感激しました。(トミーは語りが上手で、とにかくエピソードをたくさん話してくれるのです)。
それでもやっぱりここの学校で毎日学んでいる学生たちと学ぶ機会は貴重です。
学生は3年で卒業するので、私が最初に来たときの学生たちはもういないし、その後何代か入れ替わってます。今回、2年ぶりに来て、知らない人も多いので最初、不安でしたが、今、学んでいる人たちもみんな魅力的で親切な人たちでした。
今いる学生は
・韓国人のSさん
・ジャズギタリストのJ君
・ヴァイオリニストのAさん
・ヨガ教師のWさん
の4人です。
今日はこれから、Wさんのヨガ教室に、クラスメート達と行きます。
アメリカのヨガは激しいって聞いているけど、どうだろう?
「やりたいところだけやったらいいから」とは言われているけど。
きのうは学校でWさんは、「友達が来てくれるのはすごくうれしいんだけれど、実はすごくナーバスになる。やっぱり評価を気にしてしまう自分がいる」と言って、それについてワークしたりもしました
学校では話し合うことと、お互いに手を使ってハンズオンすることを交互にやります。
アレクサンダー・テクニーク学校によっては、1年生は他人に触れてワークすることはせずに、ワークを受けることと、自分でワークすることに徹するところもありますが(そういうアレクサンダーの学校のほうが多いかも?)ここでは1年生のときから両方の役割をやります。
ワークする側と、ワークの受け手が対等な関係で、お互いに聞きあいながらやるのです。言葉のレベルと身体的なレベル、両方で。
それでフィードバックを聞きあいながら実験、探求するのです。
ここの学生は、フィードバックが上手い。
「よい」「悪い」のラベルを貼るのではないやり方で、感じたことを相手に伝えることがすごく上手いと思います。だからすごく勉強になります。
彼らが卒業して教師になったとき、そういう態度で教える教師になったらすごくいい教師になるだろうな。
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今週は、寝た姿勢でのテーブルワークと、あとはギターやヴァイオリンの演奏中にワークする探求を、みんなでずっとやっていました。
アレクサンダー・テクニークのワークをするとき、改善点を見てそれを直すという態度に、つい、なりがちですが、それをやめる練習をしました。
改善点を見ようとすることは置いておいて、まず音楽をよく聴き、音楽が自分のなかで共鳴する場所からワークしはじめる、そして近づいていってハンズオンする、という練習です。
人にワークするだけじゃなく音楽とも一緒にいてワークする。
これはけっこう難しかったです。
聴き手として、音楽を楽しむのは全然できるけれど、
音楽を味わって楽しみつつ、能動的に働きかける。しかも、コントロールしようとしないで!
というのは、なかなか難しかったです。
でもすごく大事なことだと思います。
先生に助けてもらいながら、それが上手くできたときは、ミュージシャンにとってもすごくよかったみたいでした。
「今までにないような新鮮な気持ちで一音、一音に向き合えた!」
と、驚いたように言っていました。
私がミュージシャンの役割だったときも、うん、たしかにそうでした!
いつも習いに来ると思うことなのだけれど、コントロールしようとする癖に本当に入りやすいということに気づきます。
私は性格的に、人にコントロールされるのも、するのも好きじゃないはずなのに、それでも何かをやろうとするときにはコントロールしようとする癖にいつのまにか入っているのだな。
アレクサンダーの言葉で、結果を急ごうとすることをエンド・ゲイニング(end-gaining)と言うのですが、改善点を見てそれをすぐ改善しようとするのもend-gainingなのです。結局それはあまりいい結果にはつながらない。
たとえ本人がどんなに困っていたとしても、悩んでいたとしても、起こっていることは、よいこと”fine”なのだ。
と、先生のトミーは言っていました。
そこから、すべてがはじまる。