肩凝りに悩む方がレッスンに来られて、帰る前に、「すごく楽です。それに肩が下がった気がします」と言われました。
そして、「あれ以来、肩を下げるようにしています。でもなかなか、あのときみたいに楽にはならないですね」
と、後日、言われます。
実はレッスンの結果、「肩が下がった」からといって、肩を下げたら駄目なのです。
その人の場合、なぜそれまで肩が上がっていたかというと、実は首が縮まっていたからでした。
ここでみなさんも、よかったら実験してみてください。わざと首をすくめてみてください。
肩があがったり、肩が中央に寄ってきたりしませんでしたか?
このように首が縮んだまま、肩を下げようとすると、負荷をかけて押し下げないといけません。
そうすると肩だけでなく、胴体全体を押し下げてしまいます。
けっこうな努力が必要なわりに、楽にはなりませんね。
首って、このようにわざと縮めることもできますが、習慣的に、またはプレッシャーに反応して、無意識で縮めていることも多いのです。
そのような、無意識で首を縮める習慣や反応から抜け出すために、
首と背骨全体が本来の長さを取り戻して、ゆるやかにカーブしながら楽に伸びてくることを思う
と(→やりすぎてひっぱりあげないでくださいね)、
結果的に自然に、肩が下がるか、または左右にひろがってきて、肩まわりのよけいなプレッシャーが減ってきます。
(体の動きを文字で書くと、どうしても、取りこぼすところが出てきます。人によっても、ふだんやってる癖が少しづつ違いますので、これはよくある例ではありますが、あくまでもひとつの例なので、あまりとらわれすぎないでくださいね。)
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アレクサンダー・テクニーク用語で「エンド・ゲイニング (end-gaining)」という言葉があります。
結果に急ぎすぎる、結果にとらわれる、というような意味です。創始者F.M.アレクサンダー氏が使っていた独特な言葉ではありますが、いろいろな場面で役に立つ言葉で、この人の場合でも役に立ちます。
「肩が下がった」という「結果」としての「状態」を、急いで作ることには、たいてい、あまりよい効果がありません。
そこに至るプロセス(アレクサンダー・テクニーク用語で、「ミーンズ・ウェアバイ」 means-whereby とも言います)を、観てみることが大事です。
そして、急がないことが大事です。
すぐに、姿勢や状態が変わらなくても、体にかけるプレッシャーが減っていくことによって、徐々に変わっていきます。
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投稿者プロフィール

- ATI認定アレクサンダー・テクニーク教師(教師歴26年)
国立音楽大学非常勤講師。20歳でアレクサンダー・テクニークに出会い、1600時間の養成課程を経て1999年に認定取得。その後米国ボストンのAlexander Technique Center at Cambridgeで学ぶ。野口整体、プロセス思考心理学などにも関心を持ち、学びを深めながら、「自分の心身全体を自分のものとして取り戻す」アレクサンダー・テクニークのレッスン/講座を指導している。
【主な著書】
『演奏がもっとラクになるアレクサンダー・テクニーク実践のヒント48』(ヤマハ)
『無駄な力がぬけてラクになる介護術』(誠文堂新光社)など。
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