荷物(だけ)のせいにしない。

かばんをもつスケルトン

 インターネット上で知人がこんなレントゲン写真を紹介してくれました。

 これを見て、どんな風に感じますか?

 「ひぇー、こんなに背骨が歪んでしまうんだ!」
 「やっぱり片側に重い荷物をかけるのは、まずいんだろうな」

と、思われた方も多いでしょうか?

 この写真のキャプションは、”This is what a heavy bag will do to your spine.” 「これが重い荷物が君の背骨にしていることだ」 というものでした。

 私は、でも、こういうレントゲン写真を見るとき、すぐに解釈して結論を出す前に、「ちょっと待って」と、もう少し考えたほうがよいんじゃないかな、と思うのです。
 写真はたしかに、ある人のある瞬間を切り取った真実ではあるけれど、

・重い荷物を片方の肩に背負ったら、避けようがなく、こうなる、というわけではない。
・この人も、いつもこういう状態というわけではないかもしれないし、ずっとこのままだ、というわけではない。

ということは、押さえておいたほうがよいんじゃないかな、と思うのです。

 重い荷物を背負ったときの反応として、こういう格好になることはある。でも、そこからすぐに、中心感覚、あるいはプライマリー・コントロールを思い出して、バランスを取り直すことはできる。
 荷物を降ろした後にバランスを取り直すことができるし、荷物を背負ったままでも、バランスを取り直すことはできるのです。

 骨格というのは、つねに関節や筋肉や神経や、体の有機体全体と一緒に、動き続けているものです。

 だから写真を見るときは、それがレントゲン写真でも、「たまたまある一瞬、こういう格好をしていたのだな」と、捉えたらよいと思います。そのときに、骨格が歪んで見えたとしても、次の瞬間にはよいバランスになっている可能性だってあるのです。

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 そうは言ってもたしかに、この写真のように、背骨を縮めて、片方に傾けたまま、長い時間過ごしてしまう場合もあるだろうし、荷物を降ろした後もその癖が元に戻らず、習慣化することもあります。
 
 でもその場合も、「ああ、歪んでしまった」と、認識するよりは、
 「あれ、気がついたら、長い時間、偏った体の使い方をしていたけれど、そこからどう戻ったらいいかな」
というふうに考えたほうがよいんじゃないかな、と思います。

 「背骨が歪んでる」「骨盤が歪んでる」などと、人が言うときに、私が気になるのが、どこか、自分で立て直したり、対処したりできるものではないと、半ばあきらめかけているようなニュアンスを感じることです。

 でも、体の使い方は、かなり習慣化したことであっても、いつでもそこから変わっていける可能性はあるものなのです。
 骨格というのは常に、体の有機体全体として、動き続けているものなのです。

 このことは、実際、レッスンで、「体の歪み」の悩みを持った方が来られるとき、すごく感じることです。
 多くの人が、「体の歪み」と呼んでいるものが、本人の意識のしかたを変えるとすぐに変化します。
 (まあ、その後また癖に戻りはじめることも多いですが、古い癖と新しい使い方の両方を知ることで、自分でまた立て直せる可能性が現れてきます。)

 そうすると、あまり、それを荷物のせいにしなくてよくなってしまうのですね。

 まあ、荷物の持ち方に工夫ができるならば、その工夫もあわせて行うのがベストだと思いますが、荷物だけのせいにはしないほうがよいんじゃないかな、と思うのです。
 重い楽器を運ぶミュージシャン、カメラマン、その他の方々も、まずは自分が荷物に対して、どんな反応をしているのだろうか?と、そこから考えていくとよいと思います。

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