評価されることと自分軸、刺激と反応とアレクサンダーさん、プライマリー・コントロール

「緊張を味方につける」という話のなかで、複数の方が、「評価される場面でよけいに緊張する」と言われていました。

たしかに評価される場面では、自分がどう評価されるかが当然気になるでしょうし、よりよく評価されたいと思うことによって、緊張してしまうのも、自然な心の動きといえると思います。それでも緊張のおかげでパフォーマンスに影響があったりすると、なんとかしたいと思いますよね。
それにちょっと関係する話だなと思うので、アレクサンダー・テクニークの創始者であるF.M.アレクサンダーさんの話を少ししようと思います。

F.M.アレクサンダーさんの話

アレクサンダーさんがアレクサンダー・テクニークをはじめることになったのは、アレクサンダーさん自身の舞台にかかわる経験がもとになっているのです。
アレクサンダーさんは、19世紀、今からおよそ100年前の人で、シェイクスピア劇の一人芝居をする人だったのでした。しかし、舞台に立ってせりふを言おうとすると、声がかすれて出なくなってしまう、という症状に悩まされていたのです。
医者に診てもらっても原因がよくわからず、解決しなかったので、「自分がせりふを言おうとするとき、実際には何をしているのだろう?」ということを観察していったのが、アレクサンダー・テクニークの最初のはじまりでした。自分がなにかよけいなことをしてしまっているために、声が出なくなっているのではないか?という仮説をたてたのです。

刺激的なことがあったとき、それに対して、望ましくない反応をしてしまう、という状況をどう解決できるかを、アレクサンダーさんはずっと自分で見ていきました。

「刺激」というのは、単純に外から来るものの場合もあるけれど、舞台に立つときのように、「自分が外の世界とかかわろうとする」という、自分自身から生まれる「刺激」も含んでいるのだと思います。自分にとって大事なことをやろうとしているとき、ですね。

そういうときに自分がどうなるか?
最初はアレクサンダーさんは、せりふを言おうとするとき無意識にあごをひいていることや、足指をぎゅっと縮めていることなど、体の部分部分のことに気づいてそれを改善しようとしました。でもそれだけでは声の問題は解決しなかったのです。

それでアレクサンダーさんが紆余曲折したあとに気がついたのは、何をするにしても、頭と脊椎全体のつながりがまず最初に大事だということでした。
アレクサンダーさんは、頭と脊椎全体のつながりのことを、「プライマリー・コントロール」と呼びました。プライマリーは「最初」という意味なので、「最初にあるコントロール」ということですね。

頭と脊椎全体を、「自分軸」ととらえ、そこから、刺激を受け取る

ここからは、私なりのイマジネーションを含んだ話になります。
この、頭と脊椎全体を、「自分軸」ととらえ、そこから、刺激を受け取ることを意識してみると、どうでしょう?

背骨=脊椎は、「骨」であるのと同時に、そのなかに沢山の神経が通っていて、体の末端からの情報を集めてきて頭に伝え、また頭からの情報を体の末端まで伝えていますね。体全体で情報に反応できるような構造の中心、それが脊椎です。

でも、刺激に対して影響を受けすぎてしまうとき、反応しすぎてしまうときは、体のどこかの一部分だけで、刺激に反応したり、外の世界とかかわろうとしていないでしょうか?

それに対して、
頭と背骨という「自分軸」で、外からの刺激を受け入れたり、それに反応したりすると、どうだろう?

そうすると、関わりの中で生きつつ、自分を見失わないで済むのではないか?

「自分軸」といっても、自分だけで完結しているわけではなく、
自分の足の下にある地面、その下にある地球に支えられての自分軸/頭と脊椎です。
地球があって重力があるので、立っているとき、踏ん張らなくても、人は垂直方向に楽にしなやかに居ることができます。

「軸」と言っても棒のような固い動かない軸ではありません。
地面から養分を吸収して、大気や太陽からも養分を吸収して伸びていっている、しなやかな、植物の茎に近いかもしれません。

尊敬する先生と相対するとき、
「頭と脊椎のつながり」あるいは、「自分軸」を思い出してみたら、どんなふうになるでしょう?
先生からアドバイスや、注意点を聞いたら、それを、その自分軸に入れるつもりになってみたら、どうでしょうか?

体のどこか一部分だけでアドバイスに反応しているときと、違いがあるでしょうか?

評価されるような試験のときも、
「自分軸」を思い出してみるとどうでしょうか。
先生もまた、「自分軸」をもっています。
そして、お互い、同じ地球の、同じ地面に支えられて、そこに居ます。
同じ部屋にいたら、同じ床に、お互い支えられて居ます。

自分は自分の自分軸からの表現をして、
先生は先生の自分軸でもって評価をする。

その評価は、いい評価のときもそうでないときもあるかもしれない。
尊敬する先生であっても、他者なので、
その先生の評価を、あなたがコントロールすることはできない。
それは、しかたのないこと。

だけど、自分軸を信頼して、今自分ができる表現を、表現してみる。
それはいつでもできる。

今自分が持っている能力には、未熟な面があるかもしれないけれど、
今の自分を信頼して、表現することができると、
それは、未来につながっていきます。

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