力を抜くことについて、以前、書いて、すぐに続きを書くつもりが、時間が経ってしまってすみません。
「力を抜く」ことが大事なことだ、と、最近よく言われるようになりました。
たしかにそうなのですが、「力を抜こうと思っても、なかなか抜けないんです」と、言われる方が多いです。
「力を抜く」って、けっこう難しいことだと、私も思います。
「力を抜こう」としている人がよくやっていることに、力を抜こうとして体を押しさげてしまっている、ということがあります。
肩を下に押し下げてしまっていて、その結果、肩の下にある肋骨や、肺を狭めてしまっていたり、お腹を縮めてしまってことが、よくあるのです。
そうすると、呼吸がしにくくなってしまいます。
声を出そうとするときや、息を吐こうとするとき、管楽器を演奏しようとするとき、「力を抜こう」として、よけいに肺を圧迫してしまっているケースは、意外と多いのです。
たしかに肩があがってしまっていては、よくないというのはそのとおりなのですが、上がらないように、下げていては、それもまた、逆効果です。
肩は、上げずに、かといって、下げずに、自然に体の中心から、鎖骨が左右に伸びていった先にあるがままに、まかせておいたらよいです。横方向を思うといいです。
なぜか「力を抜く」って、下向きのイメージがあるようですが、そうではないんですね。
横向きもあるし、上向きもあります。
必要以上に下向きにもっていこうとすると、よけいな努力が必要になってしまいます。
アレクサンダー・テクニーク教師のひとり、イムレ・トールマンさんは、「ぶらあがる」という言葉を使っていました。「ぶらさがる」ではなくて、「ぶらあがる」。
とくに背骨のことを考えるときには「ぶらあがる」という言葉は、なかなかよく表しているのではないかなと思います。
背骨は、上向き方向(=頭の方向)にも伸びています。
棒のようにまっすぐ伸びるわけではなく、ゆるやかにS字を描きながら、上に向かって伸びています。
人間は直立して生活しているので、猫科の動物のように、頭から獲物に飛びかかったり、ジャンプしたりはしないけれど、猫科の動物がジャンプするときの背骨の可動性は、いいインスピレーションになるかもしれません。
人間の場合は、背骨が上向きに伸びていて、頭が高いところにあります。
そして人間の場合、背骨がゆるやかに上向き方向に伸びていくと、胴体は横にも広がりやすくなるのです。(鎖骨があるからかなと思います)。そして、胴体の、奥行きも出てきます。
そうすると、呼吸がしやすくなります。
胴体と手足のあいだにある、腕の関節や、股関節にも余裕ができて、手足も動かしやすくなります。
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アレクサンダー・テクニークの考え方で大事なことのひとつに、「方向性を思う」ということがあります。
いろいろな意味合いがある言葉ですが、今日書いたような状況でいえば、本来、体が自然にはたらくべき方向性を思う、ということですね。
そのときに注意することは、方向性を「思う」だけで、作り出そうとはしなくてよい、ということです。
作ろうとすると、またまた、やりすぎになってしまいます。
「思うだけ」で、よいです。
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