今日は、アレクサンダー・テクニークのレッスンでよくやる
「座る/立つ」のレッスンについて書こうと思って書き始めたのですが、書き始めてみたら、自分で練習するときのことや、抑制(インヒビション)の話になってきました。最後に再び「座る/立つ」の話に戻っています。
レッスンを受けていない人にはわかりにくい話も、一部ちょっとだけ、あるかもしれません。m(__)m
Q 「この座り方がいい座り方なのですか?」
この座り方もいい座り方のひとつだとは思うけれど、これだけが唯一、正しいわけではありません。
ただ、この座り方を構成している要素は、参考になるかもしれません。
この座り方のどんな要素が役に立ちそうか、考えてみてください。
Q 「これを家で練習すればいいですか?」
とくに座ったり立ったりするのを練習しなくてもいいです。
もし練習するとしても、エクササイズのようには、やらないでください。
動きの練習としてではなく、気づきの練習として、やってください。
「さあ、座ろう」と思ったときに、どこが、まず動きたくなるか?
「さあ、座ろう」と思ったときに、自分のどこが反応するか、
それに気づきを向けてみる。
それから、プライマリー・コントロール(頭と背骨の関係性、上向き方向)
を思って、座ってみる。
立つときも同じように
「さあ、立とう」と思ったときに、自分のどこが反応するか、
それに気づきを向けてみる。
それから、プライマリー・コントロール(頭と背骨の関係性、上向き方向)
を思って、立ってみる。
気づきの練習なので、何回もやらなくていいし、
「うまくできるまで繰り返そう」と思う必要はないです。
大事なのはうまくできるかできないかではなく、
自分が何をしているかに気づきをもっているかどうかです。
それと、レッスンのときの動きを再現しようとする必要はありません。
再現しようとすると、どうしても硬くなってしまいがちなので、新しいことをやるつもりでやるのが、よいです。
うまくできているかどうかを、すぐに判断してしまわないことが大切です。
まだ、何がよいのか判断できる段階ではないのだな、と、思って、実験精神をもってやってみてください。
やる気十分で、もし、どうしても繰り返してやりたい頑張りやさんの場合は、一度に何回もやるよりも、
一日のなかで1分、気づきを持つ時間を十回持つほうがいいと思います。
(実際には十回も時間を持たなくても、5回でも、3回でも、一日一回でもいいです。)
動きも、座る立つ動きにかぎらなくてもいいです。
「靴をはくときに気づきをむけることにしよう」というのでもいいですね。
「おじぎをするとき」でも、
「階段をのぼるとき」でも、
「鞄を背負うとき」でも、
「包丁で野菜を切ろうとするとき」
でもいいですね。
何かをやろうとするときに、3秒でも間をとって、気づきを向けてみてください。
すぐに行動しないで、「やろう」と思ったあとに、間をおいてみる、という感じです。アレクサンダーの言葉で抑制(inhibition/インヒビション)と言います。
その「間」が、新しいことが起こるためのスペースになります。
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これを読んで「辛気くさいなあ。めんどうだなあ」と思われるタイプの方は、
自分にとって大事なことをやろうとするときに、同じような方法で、気づきを向けてみてください。
自分にとって大事なことのほうが、たぶん、難易度はあがるけれど、そのほうがリアルで、やりやすいという人も多いかもしれませんね。
やってみて難しすぎたら、”自分にとってどうでもいいこと”(人によっては、上に書いたようなことはそうかな?)のワークをあらためてやってみるのもいいですね。
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Q なぜ、ほかの動きではなくて「座る、立つ」という動きなのですか?
もちろん、ほかの動きをやることもレッスンになるし、実際、ほかの動きもレッスンでやります。
でも私が、座ったり立ったりという動きが特に役に立つなあと思うのは、
股関節~膝~足首を連動させて動く
という動きであるところです。
この連動性を、意外に私たちはないがしろにしやすいんですよね。いろいろな場面で。。
股関節を十分に使っていなかったり、膝だけでがんばっていたり。
下半身を固めてしまいやすいんですね。
私のレッスンの中では、声を出すことと、座る立つを合わせてやってみたり、
楽器を構える前に、座る立つをやってみたりすることがあるのですが、
そうすると、股関節の動きが出てきて、骨盤をうまく使えるようになって、声がよく出たり、楽器を構えるときの安定感が出たりすることが多いのです。
そのほか、いろいろなアクティビティにも同じように応用できます。
よかったら、試してみてください。