からだの反応、感情的な反応

前回、

「何か『やろう』と思ったときに、すぐにやらないで、自分のどこが反応するか、それに気づきを向けてみる」
「すぐに行動しないで、『やろう』と思ったあとに、間をおいてみる。」

ということを書きました。
アレクサンダー・テクニークでの言葉でいう抑制(inhibition/インヒビション)です。

その補足なのですが、
このときの気づきが、物理的な意味での体の反応だけに向いていると、限界があることがあります。
「気づくのだけれど、どうにもできない、変えられない」というふうになりがちです。

そのとき、注意を広げてみると、体の反応と一緒に、感情的な反応もセットになって一緒に起こっていることに気づくでしょう。

逆に、感情のほうに先に気づく人もいると思います。

人によって、体の反応のほうに先に気づきやすい人と、感情的な反応のほうに先に気づきやすい人とに分かれるかもしれません。

そこで、体の反応に先に気づいた人はそれにともなう感情を観察してみてください。
感情的な反応に先に気づいた人はそれにともなう体の動きを観察してみてください。

感情的な反応でいえば、たとえば、
「怖い」とか
「人によく見られたい」とか
「早くよい結果を出したい」とか
「怒られないようにしたい」とか。。。

気づいたら、
「そうなんだな、怖かったんだな」
「人によく見られたかったんだな」
と、まずは、認めてあげてください。

そういう感情が起こっていることを認めてあげながら、体の動きのレベルの反応をもう一度見てみると、変化しやすくなる場合が多いです。
感情はすぐに変わらなくても、それにともなう体の緊張は解放できる場合があります。
体の緊張が解放されると、ずいぶん楽になるし、ほかの可能性も見えてきやすくなります。

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「怖い」というのは一言でいえないくらいいろいろなケースがありますね。

もちろん、ほんとうに危険だから怖い、という場合もあります。

安全確認をちゃんとできれば大丈夫、という場合もあります。

でも、そのたとえば怖さが、とても深いところから来ている場合は、その自分の感情にとどまることが必要な場合もあります。すぐに変化しないことが必要な場合もあります。固めていることが必要な場合もあります。

「変えよう」とがんばらないで、まずはありのままに観てあげてください。
自分がもう一人いて、自分を見守っているような感じに。

そういう時間を持つことで、ゆっくりとか、素早くかはわかりませんが(ケースバイケースですが)、変化のプロセスに乗っていきやすくなります。

場合によっては本当にゆっくりなペースが大切な場合もあるので、そういうときには自分のために、その時間を大切にしてあげてください。

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「早くよい結果を出したい」
というのは、アレクサンダーの用語ではエンド・ゲイニングend-gaining と呼ばれます。これに関しては

結果をすぐにコントロールしようとしないほうが、結局はよい結果への早道である。

ということが理解できれば、話は早いですね。

レッスンの中でそれを実感できるチャンスもたくさんあると思います。

人生のなかでもそれを実感できるチャンスはたくさんあるかもしれませんね。

ただ、世の中には、エンド・ゲイニングになるような刺激が多いし、エンド・ゲイニングが奨励されている場合も多いので、そこから自分を解放するためには、抑制の力を育てる必要があると思います。あきらめないでがんばりましょう。

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このテーマはまだまだいろいろ、観ていくことができる、奥が深いテーマだと思います。

からだと感情はひとつながりなんだな、

ということを覚えておいて、
自分の注意の向け方が、どちらかに偏っていたら、もうひとつのほうにも興味をもって、注意を向けてみるといいと思います。

アレクサンダー・テクニークは、「からだと感情のあいだの扉をあけるもの」でもあると思います。
からだと感情の間の風通しがよくなることで、
自分のからだとつきあいやすくなり、自分の感情とつきあいやすくなるとよいですね。

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