きのうは「自立していることと助けること~アレクサンダー・テクニークを使って」というお題でワークショップをしました。
きのう来られたのは、ご家族のサポートを日常的にしている方や、仕事で子どもとかかわる方などでしたが、まずはご本人たちの体の痛み(ひざの痛みや腰の痛み)の話からはじまりました。
-目次-
・痛みが起こらない自分の使い方/重力とのつきあい方
・人を介助したり、サポートしたりする
・「抑制(inhibition)」と信頼
痛みが起こらない自分の使い方/重力とのつきあい方
それで、痛みは自分の使い方から来ているのかもしれない、
ということで、痛くなりがちな動きをみんなでやってみました。
・高いところのものを下におろす
・寝ているところから起き上がる
・正座になる、正座から立ち上がる
そのとき、重力とのつきあい方の話になって、
ニュートン力学だと、積み上げられた物のように重さの負担が上から下へとかかっていると考える
けれど、人間という有機体の場合、必ずしもそういうふうではない、という話をしました。
上に向かって解放されてもいくし、あらゆる方向ひろがっていく。
だから、下に行くときに、下を思うかわりに、重力+上方向を思ったり、あるいは重力+前方向を思ったりするとスムーズだったりする、そんなことを実際にやってみました。
よく起こりがちなこととして、下へ行こうと考えるとき、落ちないように体を固めたりすることが起こりがちで、それが体の負担になっていることがあります。そのことを抑制するために、上方向を思いながら動く、というようなアイデアが役に立つことがあります。
「さっきまで膝が痛かったのに、今は痛くない」
「この動きをやるといつも痛かったのに、今痛くない!」
などと声があがりました。
参考:彫刻や建築の言葉でテンセグリティ(tensegrity = tense + integrity)という言葉があります。これが人間の姿勢や動きを理解するのに助けになることを、デビさんが教えてくれました。そのうちうまく言葉で書けたらいいなと思います。
そして、立ったり座ったりするときに、関節に負担をかけないで関節を曲げることができる、ということについてもやりました。(関節は、リリースすることによって曲がる)。
人を介助、サポートする
それから、家族や、仕事で会う人たち(子どもたちも含む)をサポートするときの実体験や具体例についてみてみました。
具体的なことはそれぞれなりのことがあるので、書くのが難しいですが、いろんな状況に共通して言えることは、「人と関わる」という刺激に対処するときには「自分に戻る(自分の呼吸を思い出し、自分の中のスペースを思い出す、などの)こと」が、やっぱり役に立つということです。
特に、誰かを「私がサポートしてあげなければ…」と思えるような状況のとき、人はアドレナリンが出て、冷静になるのが難しかったりするからです。
そうすると実際の状況を冷静に見る余裕がなくなって、必要以上のことをやりすぎてしまったりすることがあります。
すでにその人が自分でできていることを、やってあげようとしていたりすることもあるかもしれません。
また身体レベルで、人の手をひいてあげるときに手に力が入りすぎてしまう、というようなことも、起こりがちです。
それで、後で疲労困憊してしまったりします。
やりすぎをやめてみると、
サポートする人も、余裕ができて疲れないですむし、
サポートされる人も、「自分ができること」や「自分の意志」を尊重されている感覚をもちやすい、という場合があります。お互いにとって、よいことですね。
もちろん、助けが必要なときには助ける必要があると思います。
何が必要なことなのか、わかる自分でいられたらいいですね。
(私自身も!)。
「抑制(inhibition)」と「信頼」
アレクサンダー・テクニークの言葉で、「抑制(inhibition)」することによって、必要なことが自然に起こるようになる、ということを、よく言います。
私はその「抑制」は「信頼」とセットになっているように思えます。
自分の体についてでも、ほかの人についてでも、
「必要なことは、自然と起こるんだな」という信頼感があると、
やりすぎる必要がない。
でも逆も言えて、信頼感を持つことが難しいようなときに、やりすぎていることを少しやめてみることによって、不思議と、自分の内から信頼の感覚が生まれてきたりすることもあります。
こういうことを言うと、なんだかスピリチュアルな話のようにも聞こえるかもしれませんが、体の使い方のレベルで、これは体験・実験することができるのです。
自分の体を信頼すること
子どもが成長していっていることを信頼すること
回復力を信頼すること、
何歳になっても、できることがあるのを信頼すること
いろんな信頼が生まれて、お互いを生かしあえればいいですね。
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自分に戻ることが役に立ちそうだといっても、人という刺激に出会うその場で、「自分に戻る」ことは、なかなか難しいと思います。
そうであれば、人に会いに行く道中、歩いているときに、自分の呼吸を思い出し、自分の中のスペースを思い出しつつ、その人のことを考えてみる、ということをやってみるとよいかもしれません。
人に会うために歩いている道中は、早く到着したいとばかり考えがちかもしれませんが、その時間を使って、歩くという動きを使って、自分に戻る、そんなことができればいいですね。
以上、きのうのワークショップで出てきたことの一部を書いてみました。
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