セミスパイン=アレクサンダー・テクニーク的「建設的な休息」


「セミスパイン(semi supine )」「コンストラクティブ・レスト(constructive rest )」とも呼ばれる、アレクサンダー・テクニーク的「建設的な休息」の方法を紹介します。

仰向けに寝て、ひざを立てて休む
というだけの、シンプルな方法ですが、

眠るときでだけでなく、目覚めていながら、重力に支えられて休む時間をとることで、疲れやストレスをリセットして、痛みにつながりそうな癖もリセットして、新たに生き生きと動く助けになります。

・仕事が終わった後や、リモートワークの仕事の合間に
・楽器の練習の前や、練習の合間、終わった後に
・緊張するようなイベントがあるとき、家を出る前に
・一日が終わった後、寝る前に一日の疲れをリセットして、よい眠りに入りやすくなるために
・いろいろなことを考えすぎているとき
・腰が痛いとき

など、いろいろな場面で効果があります。

この姿勢は、背中全体と、後頭部と、足の裏--体の広い範囲で床からのサポートを感じられる姿勢です。

  • 大地が支えてくれているので、自分で自分を支えなくていい。それを再認識できると、安心、安全のなかで、体の緊張を手放しやすくなります。
    体の緊張を手放すことができると、呼吸も深くなり、精神的な緊張も緩んでいきます。毎日このような時間を持つことで、長年の癖から少しづつ解放されてきて、股関節が前より動くようになるとか、首の凝りや肩凝りが軽減するというような効果を得る人も多くいます。以下に手順を、テキストと、動画、それぞれで紹介します。
    動画の方は、じっと休むだけでなく、少し体を動かすことも含めています。
    好きなほうを参考に、ご自分でもぜひやってみてください。
  • 手順は、自著とは少しだけ違う風に書きましたが、私が最近、いいと思っている手順です。正解は一つではありません。参考にしつつ、みなさんそれぞれ、自身の体の声を聞いて、やってみてくださいね。
  • セミスパインの手順(テキスト)
  • セミスパインの手順(動画)
  • セミスパインの応用~腕と背中(動画)
  • セミスパインの手順(テキスト)

    1.床に仰向けになります。やわらかすぎないところのほうが、重力からのサポートを感じられるので、おすすめです。

    2.本を床の上に置き(枕の代わり)、その上に頭を載せて、仰向けになります。髪の毛を後ろで結んでいる人は、ほどいておくとよいです。

    枕がなくても首回りが楽でいられる人は、枕なしでもよいです。寝てみて、あごが上がってしまうような人は、本などで平らな枕をつくりましょう。
    私は、1センチか1.5センチくらいの本を使うことが多いです。人によっては数冊重ねて5センチくらいにする人もいます。
    首の後ろと、首の前側がどちらもひっぱられすぎにならず、前側と後ろ側がちょうどよいバランスであればよいです。自分にとって楽で心地よければ大丈夫です。

    3.体全体が床に休んでいて、重力が体を支えてくれています。
    背中全体、体全体が床に触れ、床に触れられている感じを味わいましょう。

    4.ひじを胴体から少し離して曲げ、手のひらを腰か、お腹の上に軽く載せましょう。

    5.呼吸と一緒に体が微細に動いているのが感じられるかもしれません。

    6.骨盤は、胴体の一番下にあり、左と右に分かれて床に休んでいます。左の骨盤から左脚が、右の骨盤から右脚が出てきていて、頭と反対方向に長く伸びています。

    7.その長い脚を折りたたんでいきます。
    片方のひざの裏をゆるめながら、ひざを曲げていきます。(力を入れなくても楽に曲げられます)。そして足裏を床に着け、ひざを天井に向けます。骨盤と足裏を底辺として、膝が上にある、三角形ができます。

    片方の足を動かした後、骨盤が緊張していたら床に休めます。そして、もう片方の足も同じように動かしていきます。

    左右のひざとひざの間、足先と足先の間は、骨盤の幅と同じくらい離しておきます。左右に適度に力が分散しています。

    太ももの筋肉は楽に休んでいるでしょうか?
    足裏を骨盤に近づけると、足先と骨盤に重さが下りて、太ももが踏ん張らなくてよくなるかもしれません。

    7.ひざを立てた後、胴体が窮屈に感じたり、また、床に触れているところが痛く感じたりするかもしれません。そのときは…
    足先をお尻に近づけてから、足裏で床を踏んでお尻を浮かしてみてください。胴体の長さを思い出しながら、お尻が頭から離れていくようにしてから、お尻を下します。腰回りが解放されます。

    8.体全体の長さ、広さがあり、体全体が楽に、床に支えられて休んでいるのを味わいましょう。

    9.そのまましばらく休みます。
    休んでいるうちにだんだん体がゆるんでいくでしょう。もし体がゆるまないと感じても、焦らずそのまま時間をとって、起こることにまかせていてください。自分で伸ばしたりしなくてよいです。気づかないくらい少しづつ変化していっています。

    海の波をみたり、ローソクのゆれる炎を見ているときのように、自分の体の動きをなんとなく眺めていましょう。

    5分~10分でもいいし、30分ほど行ってもいいです。

    10.起き上がりましょう。首は楽なまま、まず頭を横に回転させ、手足・胴体がそれについて動き、横向きになってから起き上がりましょう。背骨全体が上かららせん回転で動きます。

    11.今まで床と水平にいたのが、だんだん、立つにつれて、垂直の関係になっていきます。
    はじめて立ったときのような気持ちになるかもしれません。
    見渡せる範囲が広くなっています。視線が高くなっています。見えるものを味わいましょう。
    足が地面についていて、体がゆるやかに上に伸びていて、一番上に頭があります。
    首が楽に、頭で楽にバランスをとって立っています。
    体の軽やかさに気づくかもしれないし、逆に体の重さに気づくかもしれません。
    少し歩いてみましょう。
    足が床に触れる感覚と、見えるもの、体の動き、それらを味わいながら歩いてみましょう。

    (2021.8.4)

    セミスパインの手順(動画)

    セミスパインの応用(動画)

    背中が床にサポートされた状態で腕を伸ばしていくというワークです。

    こちらは私が独自に考えたものですが、肩回りが自由になることを助けます。
    腰の痛みの解放にもつながります。

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