ピアノ演奏、アレクサンダー・テクニーク、教えること

ピアノの指導者を目指す人のための単発クラスを教えることになり、その方々のために書いてみました。興味ある方がいらっしゃるかもしれないので、シェアします。

手だけでなく体全体を意識に含める

ピアノを演奏する人は、手については常に意識しているけれど、体の、手以外の部分については、意識から抜けていることが多いのではないでしょうか?

しかし、手を自由に使うためには、手だけではなく、体全体を意識に含めることが大事です。

ただ、考えるといっても、あまり細かく厳密に考えなくてもいいのです。

・体の中心には背骨があるんだったな。

・背中もあったな。

・足もあったな。

・背中と腕のつながりは、どんなかな?

と、大まかに、なんとなく意識に含めるだけで、違いが生まれます。

「手や、肩に力が入って抜けない」とか、逆に「手に思うように力が入らない」というようなこと、また、手を傷めてしまうというようなことは、手と体全体のつながりがうまくいっていないときに起こりがちです。

逆に、体全体を意識に含めると、そのような問題が解消に向かうことがよくあります。

手だけでなく、手と自分全体のつながりを思い出し、そこから演奏やパフォーマンスをすると、
繊細な動きや、逆にパワフルな表現など、自分がイメージした、曲に合った表現がしやすくなります。

首の自由さを思い出す

背骨全体のつながりを意識できていると、首の頑張りすぎを手放しやすくなります。
首は背骨の一部で、その上では頭が楽にバランスしています。
鍵盤や、手元を見るときにも、背骨全体の上に頭があって、後頭部が上に向くと、顔が下に向いて、手元を見ることができます。地面との関係を思い出す

骨盤の下には座面があり、座面を通して、重力があなたを支えてくれています。重心が座骨をとおして座面に降りていると、上半身は楽に使えます。
足の下には床があり、床もあなたを支えてくれています。
別にぎゅっと踏みしめなくても、軽くコンタクトをとっているだけで、床からのサポートを得ることができます。
自分で自分を支えなくても、重力が支えてくれている。それを思い出しましょう。

やりすぎを、やめる

「やりすぎをやめる」とは、何かすることを諦めることではなく、何かをしていく過程で、自分のなかの命の流れを信頼しつつ何かを「する」ことです。
その結果、力を入れすぎずに力を発揮できる、そういうことが起こります。

姿勢とは、固定したものではなく、動きの結果

姿勢を見直したいときは、その姿勢に至るまでの動きを観察してみるとよいです。
座る姿勢を見直したいときは、椅子の前に立って、床を感じてから、ゆっくり座ってみましょう。体を縮めないで、関節を楽に曲げて動きだしてみましょう。


弾くときの姿勢を見直したいときは、まず手を鍵盤から離して膝の上に置いてリラックスして、そこから片手ずつゆっくり、鍵盤まで届かせていきましょう。目的地まで、必要最低限の力で動いていくと、どんな感じでしょう?
手が鍵盤のところまで行くのには、上腕の力はほとんどいらないかもしれません。でも、いつもの癖で、思っていた以上に力が入っていたことに気づくかもしれません。「気づいた」ということは、ラッキーです。すでに不必要な力が抜け始めている証拠です。それ以上「改善しなくちゃ」と思わなくていいので、あとは放っておきましょう。すでに変化は起こっています。

「腕をゆっくり上にあげて、おろしていくワーク」も役に立つと思います。

よい姿勢は、楽な姿勢です。
よい姿勢は、動きに入りやすい姿勢です。
よい姿勢は、いつも同じではないかもしれません。前によかったときの姿勢を再現しようとしないほうがよいです。今の自分にとってのよい姿勢は、前と違うかもしれないし、それでOKです。

「さあ、弾こう」という瞬間に

「さあ、弾こう」と、ピアノの前にドシンと座って、同時にもう手は鍵盤の上に置いていて、音を出す前からいつもの習慣に入っている―
これは、その人にとって大事なことをやるときであればあるほど、起こりがちなことだと思います。そこをあえて、弾き始める前に、間をとって、自分全部になんとなく、上に書いたように意識を向けてみる。最初だけでも意識をもってみると、違いが生まれます。
最初に意識を持つと、弾き始めた後には、あまり意識をする必要がなくなり、音楽に集中できるようになります。

教えること


正解はひとつではないです。その人の状況によって異なります。体型も、体の可動性も人によって違います。
正解を押しつけないで、うまくいかないときには「何が起こっているんだろう?」「この人にとって、どういう角度だったら、動けるかな?」と興味を持って観察してみましょう。
それは自分自身に対してでも、同じことです。まずは自分自身の動きと可能性に興味を持って観察してみましょう。自分のことがよりわかるようになると、他者のこともわかるようになります。
「こんな考え方があるんだけど、試しにやってみませんか?」と、実験精神をもってやれると、生徒も、教師も緊張しなくてすむかもしれません。
生徒の「こんなふうにできたらいいな」という思いを大切にできたらいいですね。

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