「腕の力を抜く」 (1)(続 力を抜くことのむずかしさと方向性)

前回、「力を抜く」ことのむずかしさと「力を抜く」について、主に胴体の話からしてきました。

胴体を、力を抜こうとして下向きに押し下げるのをやめて、上向きに広がっていく(「ぶらあがる」)ことを思うと、呼吸もしやすくなるし、手足も動かしやすくなる、という話でした。

今日は、「腕の力を抜く」ということについても、書いておこうと思います。
腕についても、ダランと下向きにぶらさがるのがよい、と、よく言われたりしますが、これについても、もう少していねいに見てみる必要があると思います。
腕をぶらさげようとして、押し下げて、重くしてしまっていないか、ということです。

たしかに、不必要に腕を持ち上げた状態で固めて使っている場合もあるので、それに気づいたら、やめる必要があります。でもだからといって、押し下げすぎるのにも注意が必要です。

これには腕の構造を見てみると、役に立つかもしれません。

 (以下の説明は言葉だけではわかりにくいかもしれません。後日、絵をのせようと思いますが、言葉が苦手な人は、すみません、理解できなくても気にせず、流し読みしてください)。

腕を骨格として見ると、腕のはじまりは、前面から言うと、体の中心の胸骨から左右それぞれに伸びている鎖骨からはじまります。細長い鎖骨がゆるやかなS字にカーブしながら左右に伸びていて、胴体の端まで、肋骨の端までさらに外側、胴体の一番端まで来て、そこでいわゆる肩の骨(=上腕の腕の先端)と出会います。そこから向きが変わり、上腕の骨は下向きに下りてきて、ひじ、前腕、手首、手のひらと続いていきます。
つまり、腕は体の中心からまず左右に伸びていって、そこから下に下りています。

ついでに言うと、背面には大きな逆三角形の肩甲骨が左右にあって、そこから腕がはじまっています。なにげなく手を上にあげると、肩甲骨も手の向きと連動して回転します。(だれかに肩甲骨を軽くふれてもらいながら、手を上に向けて動かすと、わかりやすいかもしれません (註)

さらに筋肉で言うと、肩甲骨のさらに下の広背筋が、腕の動きと連動して動いてきます。

 つまり、腕はまず、中心から外側に向かって左右に伸びている、
背面から見ると、腕は、左右に広がっている肩甲骨からはじまっている。
もっといえば、腕は筋肉でいえば、広背筋からはじまっていて、下から支えられている。
そのような、中心からのつながりと、下からの支えがあって、はじめて、腕は下に行ける。

腕は上からぶらさがっているのでは、ないのです。

だから、力を抜こうと思うとき、腕が背中から支えられているイメージを持つと、いいと思います。

ただ、実際に腕を使うときで、「力を抜く」ことが課題になるときは、何も持たず、動かさずにいるときではなく、腕や手を使って何かをしているときだと思います。
そういうときには、どういう方向を思えばよいでしょう?
よかったら、考えてみてください。

(次回に続きます)。

註:私のワークショップやレッスンでよくやる動きですが、そのときは、その人によって、癖があるので、どこに気をつけたら肩甲骨が動きやすくなるかをアドバイスして動いてもらいます)。

 

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