“being”と”doing”

去年から町田のTEENSPOSTというNGOでワークショップをやっています。月1で、3回1クールで季節ごとにやっています。参加者は、TEENSPOSTのほかの自助グループなどに参加しているメンバーの方々と、一般の参加者の方です。

参加者の方に、自助グループなどで、日々、自分の抱えている問題に向き合ってきている方々が多いので、ワークが深まりやすいなと感じています。

ワークショップをやるときには、個人レッスンではできない、グループや、二人組みでのゲーム的なアクティビティを多くとりいれてやっています。

最初に、お馴染みの
・首が楽になるとはどういうことか?
・頭と背骨全体のつながり

ということから始め(やはりここを最初に押さえておくと、後がやりやすいんです)、その後、ゲーム的なアクティビティを通して学んでいく時間を多くとっています。

先週の回では、
「二人組みで立って背中合わせになって、お互い、背中と背中でサポートしあって、歩く」
というのと、
「二人組みで向かい合って立って両手をつなぎ、お互い背中が離れていくことを使って、座っていく」
という動きのゲームが特に、盛り上がりました。)^o^(

(文字で書くと全くわかりにくいですね。今度、図解を入れたらわかるかな? あるいは、またどこかでやるので体験していただきたいと思います。)

これらの動きは、人がやっているのを見ただけだと、ちょっと妙な動きなので、笑いが出てしまいますが、やってみると、うまくいくと、とても楽で気持ちがよいです。やった後には、気持ちよい笑いがあふれてきます。

ただ、少しコツがいります。

ひとつは、首が楽で、背中を広く使うということ。
背中と言っても胴体全体、特に、胴体下部の、骨盤の底まで全体を、一つのユニットとして広く使うということです。

「うまくやらなきゃ」などと身構えることによって無意識に胴体を縮めてしまっていることがよくあるので、それに気づいたら、それを手放します。

二つ目は、足や腕はがんばらなくていい、ということ。
ひとつめのアクティビティでは足で踏ん張る人が多く、二つ目のアクティビティでは、思わず腕で引っ張ったりしたくなる人が多いです。
でもどちらのアクティビティも、足の力で踏ん張ったり、腕の力で引っ張ったりすると、とても大変になってしまうのです。

三つ目は、股関節が自由ということ、です。

首が楽で、胴体を広く長く使えていると、足や腕はほとんど何もしなくていいし、地面のサポートと、自分と相手の胴体のサポートを利用して、軽やかに動くことができるのです。

この動きのゲームは、そういうことができているととても楽しい動きになるのに、できていないと、動きそのものがうまくいかなくなってしまい、わかりやすいです。でも、同じように日常でも、いろんな動きをするときに同じような癖があるということに気づくと思います。

さて、これをやった後で、”being”と”doing”という言葉を思い出した方がいました。
「人間は英語で言うと “human being” なのに、今は、”human doing”になってしまっている。”すること”に忙しく、『在ること』”being”を忘れている」
という、辻信一さんの本にあった言葉を思い出したそうです。

そのとおりですよね。
そして、”being” を忘れていることによって、”doing” がなおさら難しくなってしまっていることも多いのではないでしょうか?

“being”に居ながら、”doing” すれば、”doing” はもっとシンプルなものになるかもしれません。
たとえば、チャレンジな仕事や、解決するべき問題を抱えているときでも、頭の中を忙しくすることを少しやめて、まず、”being”を思い出す。それからもう一度問題に向き合うと、意外とシンプルに解決法が見つかるかもしれません。

瞑想、ヨガ、そのほか、”being”に居るための方法にはすばらしいものがたくさんありますが、”being”に居ながら”doing”することを、からだのレベルも含めて具体的に学ぶというところは、アレクサンダー・テクニークのユニークな点のひとつと言えるかもしれませんね。

先日やったこのゲームは、そういう学びのひとつだし、それを、もっと実際的な動きや、緊張するような状況などを思い出して、それに当てはめて、応用することができると思います。

団体、あるいは有志のグループへの出張ワークショップについては、yuriko@littlesounds.comにお気軽にお問合せください。5人~20人ぐらいのグループワークができます。内容も、ゲームやコミュニケーション中心、日常動作や実際的なこと、専門的なこと、それらを織り交ぜて、など、ご相談に応じます。

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