きのうは、築地本願寺であったコーマワークのシンポジウムに行ってきました。以前読んで、とても心を動かされたマンガ『ペコロスの母に会いに行く』の作者で、長崎から来られた岡野雄一さんと、日本プロセスワークセンターの Sano Hiroko 佐野浩子さんの対談。
『ペコロスの母に会いに行く』と、そのあとのペコロスシリーズは、
岡野さんがお母さんの介護をして、老人ホームにお母さんが入った後も毎日会いに行って、最後、身取る、そのプロセスをご自身がマンガに描かれたもので、とてもすてきなのです。
長崎の、そして天草の町の今と過去、そこに生きたひとりの女性の今と過去が、岡野さんの言葉を借りれば、息子である岡野さんがぼけたお母さんに憑依することによって、描かれています。
岡野さんは、漫画どおりの優しい雰囲気で、朴訥なシャイな感じの人。
マンガと同じく、長崎弁がとってもすてきなんだけど、でも一生懸命、みなさんがわかるように標準語で言おうとしてくださっている。
お話聞いて、長崎に行きたくなった。
坂、墓、馬鹿の街
亡くなっている人も一緒に住んでいるような街。
とってもシャイに見える岡野さんは、でも、街で会って何か気になる人には、話しかけているのかな?「きいてみたら、こういう背景だったそうです」と、味わい深いその人の人生を聞きだしている、普通のことのように。
浩子さんは、「ペコロス」シリーズが大好きでめっちゃ読み込んでいて、長崎に岡野さんを訪ねていかれたそうだ。きのうは、岡野さんのペコロスの世界への大きなリスペクトがありつつ、それをコーマワークの話につなげてくれました。そして流れのなかで無理ない感じで体験ができて、無理なくまた戻ってこれる、すてきな時間になりました。
多くの場合だと、認知症だったり、コーマだったり、通常と違う意識状態の人と接するとき、まわりの人は往々にして、現実世界にその人を戻そうとしがちだけど、岡野さんの場合は、その人の(=認知症のお母さんの)世界のなかで一緒に遊んでいますよね、というような問いかけがあって、コーマワークもそんな感じだという話もあって、
岡野さんは、「マンガを描くということによって自分も、”憑依する”ということをやっていたのでしょうね」と。
お話の合間にペアワークの時間。
コーマワーク、「私にできるかな?難しそう」と、今まで思っていたけれど、
ぼーっとしていればいいんだな、と、今回は思えた。
副交感神経。
「なるべく初対面の人と組んでください」と言われ、
自己紹介もなしにはじめる。
私自身は目をつむっても、なかなか夢の世界に入りきれなかったのだが、後でワークのパートナーに聞いたら、「しっとりとした森の中を一緒に歩いていた」
それは、見たかった夢にとても近い世界だな。
私の夢の、少し先を行ってくれていたような不思議。
交代したとき私は、パーっと視界がひらけて背筋が伸びて、目も目覚めて、ゆるんであくびがでた。浜辺にいるような感じーさっきと全然違う世界だった。
なにも事前情報がないけど、同調するのが不思議でおもしろく、いい体験だった。
最初、なかなか夢の世界に入りきれなかったときにも、
いろんな小さな街の一隅に、あちこち行ってるような時間で、
それらの場所も私にとって、大事な場所たちだった。