ボストンのChipさん

木曜日に一緒にお夕飯をしたのは、2000年にはじめてボストンに行ったときからずっとおうちに泊まらせていただいていた Chipさん。

Chipはアレクサンダー・テクニークとは全く関係ない人。

ボストンの宿は高く、そのころはAirBNBもなかった。でもなんとか安く泊まれないかとインターネットを探していたら、roommateservice.com というサイトが見つかった。これは、アメリカには大きい家が多くて単身者用の家が少なく、大きい家を持ちきれない人と、一人分の住処が欲しい人をマッチングする目的のサイトで、短期間の旅行者向けではなかったのだけど、そこで見つけたChipに、「短期間でも可能ですか」と聞いてみたら、快くOKしてくれた。

自己紹介には、子どもに国際的な多様性のある環境を経験させたいと思って長年留学生を受け入れていた、と書かれていた。ほかにも自分自身についても長い説明が書かれていて、この人なら受け入れてもらえそうと思った。そして、宿代もリーズナブルだった。

最初に行ったときは東欧から来ていた女の子がいた。そのあとは、もう少し大人の同居人ーピアノを弾く猫を飼ってる看護師のクリスと、介護職のブライアンが、カップルではなくそれぞれの世帯を、Chipの家の中で、台所とバスルームをシェアして暮らしていた。

私はボストンにいるときは、屋根裏の部屋に泊めてもらった。朝起きた時に窓から木々が見えるのが好きだった。ベッドはスプリングがいかれていてイマイチだったので、寝袋で寝てた。

ボストンのDochesterという、古い建物が多く残っている街。今はそんなことないけれど、80年代90年代にはガラが悪いところだと思う人も多かったらしい。黒人が多い街。

はじめて行ったとき、そんなに黒人の多いところに一人で地下鉄で行ったことはなかったので少しドキドキしたけど、実際は危ないとかそういうことはもちろん全くなかった。

でも、もう少し前の時代はもしかしたらもう少し危なかったのかな? 今回あらためて、「なぜDochesterに住むことにしたの?」とChipに聞いたら、「ボストンは当時、人種ごとに分かれてしまっていて、人種間の緊張もあった。でも自分がこっち側にいるかぎり、それに対して何もできないと思った。住んで、そのなかの人になることによって、何かできると思ったんだよね」というようなことを、サラッと言っていた。

Chipはとても温和な人で、アクティビストみたいなタイプでもない。むしろ、ちょっと頼りないと思われがちなのかなというところもある。そのChipがそんなふうに思ってここに住んで…という人生には、ちょっと心を打たれます。

Chipには養子として迎え入れたベトナム人の息子さんがいて、一時期はその息子さんも大変だった時期もあったみたいだけど、今は所帯を持って独立して3人の子どもがいる。以前、家の下の階に家族で住んでたときに、ベトナム製のインスタントラーメンに生野菜をたっぷり入れたのを食べさせてくれて、それから「今から踊りに行くけど行かない?」と、きついベトナム訛りの英語で誘ってくれたこともあったなぁ。

Chipは音楽もやっている。ベースとギターと歌を歌う。前に行ったときはオープンマイクに誘ってくれて、私も一曲歌ったのでした。

今回は、Chipの家に泊めてもらわなかったのに、「ぜひ会おう」と言ってくれて、メキシコ料理をご馳走してくれました。ありがたいなあ。お世話になってばかりです。

私は英語もとつとつとしか話せないし、愛嬌もあるとは言えないし、一緒にいて楽しい人間ではないんじゃないかなと思ってたんだけど、こんなふうに時間が経っても大切にしてくれて、嬉しい。

画像に含まれている可能性があるもの:3人、石井 ゆりこさんを含む、、スマイル、座ってる(複数の人)、テーブル、飲み物、室内
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