無駄な緊張を自覚していくことで、歌のパフォーマンスに良い影響が出てきました。

私は歌手なので、発声への関心から、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受け始めました。単に、声の出し方の方法にとどまらず、ステージパフォーマンス全般に応用できそうな予感も、始める前にあった気がします。

最初の頃は、「自分を観察する」ことと「外からの刺激にすぐに飛びつかない」ことが一番役に立ちました。レッスンで感じる体の感覚は、日常に戻ると長続きしなかったけれども、観察に重点を置けたおかげで、ゆっくりレッスンを進めていくことが出来ました。

意外にも、自分の体に無駄な緊張が常にいっぱいあることを自覚していくだけで、数ヵ月後には、歌のパフォーマンスにも良い影響が出てきました。「腹から声 を出し」、「腰を入れてリズムを感じる」つもりで自分がやっていたことが、実際には、無用な緊張をたくさん作り出している、と徐々に分かっていくプロセス が、そのまま、唄うことの新鮮な楽しさと結びつき出しました。この頃の経験は本当に貴重なものになりました。

発声とか体の使 い方については、一年経ったいまも、「あっ、そうか!」と理解したつもりになっては、しばらくして、それが全然身についていない自分を発見したり、の連続 ですが、レッスンで感じた体の感覚や、体全体のつながり方のイメージを体験として持った上で、日常的に「すぐに飛びつかない」でいることは、ステージに立 つ時や、その他緊張状態の時に、自分にとって大きな支えになっています。

今後の課題としては、「すぐに飛びつかない」ことでできる余裕を、もっとアグレッシヴに活用したいなあ、と思っています。「さあ、やるぞ!」って衝動をダイレクトに行為に結び付けられて、しかも、無用な緊張を生まないでいられたらなあと思っています。

(ビトさん 歌手 神奈川県 34歳)

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