「アレクサンダー・テクニークは感情のコントロールに役に立つのでしょうか?」
ときどき、そう聞かれることがあります。
それについて、答えてみたいと思います。
というか、レッスンではいつも言っていることですが正解はひとつではないので、その問いのまわりを探ってみたいと思います。
(レッスンではこんなに長くしゃべることはせず、目の前の人と対話しながら、この人の場合はどうかな、と、その人と一緒に見ていくのですが、不特定多数の人が読んでくれているかも、と思いながら書いていくと長い文章になってしまいますね)。
まず、ひとが、日々のいろんな刺激のなかに生きていて、そのときどきに生まれてきた感情は、たとえば怒りなどにしても、必ずしも抑えるのがよいとは限らないと私は思うのです。
感情を表現したほうが健康によいことも少なくないし、人とコミュニケーションをとるにあたっても、感情を表現することによって、結果的に人間らしいコミュニケーションが深まることもあります。
でもそうは言っても、
「いつも、それほど大したことないことで怒ってしまって後で自分でも後悔してしまう」
というようなこともありますね。
怒らなくていいようなときに怒らずにはいられない、というときは、こういう場合もあります。
日常のいろいろな刺激やストレスに対処していっているときに、息を吐くことを止めてしまっている。
息を吐ききらずに次の息を吸って、忙しい仕事をなんとかこなしている。
そういう状況を繰り返すことで、だんだん、喉の周りの筋肉が固くなり喉周りがつまってきて、ときどき、思いきり息を吐いたり、感情を爆発させたりせずにはいられなくなる。
身体的なレベルで、そういうことが起こっている場合があるのです。
そういうときに、思いきり息を吐くこと、大声を出すこと、
そういうことをしたい、と思えるのは、健康なことだ言えます。
体の望みが脳に伝わって、脳がそれを認識できているのですから。
体と心が切り離されていないのは、健康です。
そこで、大声を出すのは、基本的には、いいことだと言える。
ただそうは言っても、いつでもどこでも大声を出すわけにはいかないかもしれない。
自分が置かれた状況のなかの立場もあるでしょうし。
そういうときに、観てみると役に立つことのひとつを紹介します。
自分が息を吐き切る前に次の息を吸っていないか?ということです。
まず、今体のなかにある息をゆっくり吐いて、どこまで吐けるだろう?と、やってみてください。
吐く前に吸わないように。今ある息を吐いていく、というのがポイントです。
どこまで吐けるだろう?と言っても、苦しくなるまで吐く必要はないです。
でも意外に、らくに吐ける息が、まだ体のなかに残っていることがあります。
息を吐いていくときに、腹筋など体の前側のみを意識するのではなく、骨盤まわりや背中やお尻の筋肉も、呼吸に協力してくれているのだなあ、ということを思い出すと、息を吐いていきやすいです。
私のレッスンのなかでは、
・座る動きと一緒に息を吐いてみる
・手を上にあげる動きと一緒に息を吐いてみる
ということを、よくやります。
動きと一緒に息を吐くことで、
体のなかでも呼吸が動いていて、体の中の筋肉がそれと一緒に動いていること、
動いてくれている筋肉は、上半身の上のほうだけではないこと。
体のなかを通って口から外に出ていくまでの呼吸の通り道があることなどが、実感しやすくなります。
そしてさらに、首回りがもっと楽になれることも、実感しやすくなります。
これはひとつの一例です。ほかの人にとっては、もっと別のやり方が合っているかもしれません。
人によって、忙しいときにどういうふうに対処しているか、ストレスがあるときにどんなふうな体の使い方をしているかは違います。
自分の場合はどうなんだろう? もっと見てみたいと興味をもたれた方は、よろしかったらレッスンにいらしてください。いっしょに探究してみましょう。
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