雨音とピアノ

1年半ぶりに京都に行ってきました。京都は、アレクサンダー・テクニークを勉強したときに住んでいたところだし、第二の故郷のようなところで、少し前までは、シーズン毎ぐらいに行っていたのに、1年半も行っていなかったのは、とてもひさしぶりな気分です。

でも行ってしまえばそんなにひさしぶりな感じはしません。

今の時期にいったのは、南アフリカのジャズのピアニスト、アブドゥラー・イブラヒムのコンサートが、上賀茂神社であるからでした。

ラッシュライフという、小さなジャズ喫茶が主催です。3年前にも、同じ場所で彼のコンサートがあって、とてもよかったので、今回もとても楽しみにしてました。なんと彼自身も、「あそこの場所が忘れられない。またぜひあそこでコンサートしたい」と連絡してきたそうです。

しかし!前の晩、準備をしていたら、郵送してもらったチケットがありません!

窮してラッシュライフに事情をメールで書いて送ったら、でも、
「大丈夫です。こちらにご入金記録がありますので、どうぞお越し下さい。」
と、すぐに返事が返ってきました。よかった~。

会場には、身分証明書を求められることもなく、入ることができました。

1600年代に建てられたという木造の古い建物のまんなかにグランドピアノが置かれて、コンサートがはじまりました。まわりに座布団が並んでいて、私達はピアノのすぐそばに座ることができました。ピアノの椅子の横に、黒い革靴が置いてあります。

外は雨がずいぶん降っています。ちょっと寒いのでレインコートを着たまま聴くことにしました。

神社の人が雅楽を演奏した後、アブドゥラーが出て来ました。ごっついけど静かなたたずまいの人です。71歳だそうです。
靴を履いて演奏し始めます。エンドレスで弾いていきます。
レコードで聴いたことのあるフレーズがときどき現れて、また違う展開になっていって。。即興の交響曲みたいな感じです。

外の雨音とピアノの音があわさって、ひとつの音楽になっていきます。
3年前よりも、陽気な曲調が多くなったような気もします。
1時間ぐらいエンドレスで弾いて、30分の休憩になりました。

会場の外で主催のボランティアスタッフの人たちがパンとコーヒーを売っていて、(主催がコーヒー屋さんだけあってやっぱりコーヒーです。)パンを食べました。おいしかったです。

後半も1時間ぐらいの演奏です。目を瞑って聴きたくなって、目を瞑っていたら、ちょっと眠ってしまいました。
(でも眠ってても、曲は聞こえていましたよ。)

終わって、あたたかい拍手があって、アンコールです。アブドゥラーは、何もしゃべらなかったけど、顔の表情が豊かな人で、表情で観客の拍手や声に応えてくれました。

——

思えばアブドゥラーの音楽にはじめて出会ったのも、ラッシュライフででした。
カウンターだけのお店だし、私はジャズのこともあまりよく知らないので、最初入るのにはちょっと勇気がいったけど、大きいスピーカーから小さい音で流れてくる音楽が、とてもあたたかくて、
余計なことをしゃべらない、年齢不詳のマスターがゆっくりいれてくれるコーヒーもおいしい。
(なぜか、注文してからしばらくたってから、コーヒーをいれはじめてくれるような気がするのです。)

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