レッスンのひとこま「スマートフォンを見る」

スマートフォンを見る動作を、アレクサンダー・テクニーク・レッスンのなかでやりました。

私自身も数年前に、買ったばかりのipod touch (iphoneの、電話機能がないものです) を電車の中で毎日見ていて、首や肩が痛くなってしまい、それをレッスンの中で見てもらったことがありました。
そのときに私が気づいたのは、腕を固めてipod touch持ち上げていたことでした。

スマートフォンやipod touchは、とても小さなものなのに、なぜか腕を不必要に固めて持ち上げてしまっていました。
意外とこういうことってあるんですよね。
しかもその体勢を、ipod touchを鞄にしまって歩き出した後もリセットできないで、ずっとそのままになっていたのです。

スマートフォンや携帯や、ipod touch、形はとても小さなものだけど、大きな刺激がつまっている物。その刺激に反応していたのですね。

刺激に反応できるという私たちの体内システムはすばらしいものだけれど、その反応のしかたが適切かどうか、ときどき意識的になってみることは役に立ちます。

スマートフォンという刺激だったら、「このスマートフォンを、見たりタイピングしたりするために必要なところまで持ってくるのに必要な力と動きは、どのぐらいだろう?」と、動きを観察してみましょう。

・必要ないのに、固めていた
・なぜか腕を縮めていた
・胴体もなぜか縮めていた

などの気づきがあるかもしれません。

もう一度、腕全体の長さを思い出して、腕を長く使ってスマートフォンを持ってみましょう。腕が長くて邪魔になる、と思われる人もいるかもしれませんが、腕は長いけれど、肘などの関節があるので、間接で好きな角度に折りたたむことができます。近づけるために、筋肉を縮める必要はありません。

スマートフォンの中の、読んだり見たりしている情報の内容が刺激的で、それに反応して体を固めている、ということもあるかもしれません。
それはもっともな反応ですし、そうなるより仕方のない場合もあります。
その場合でも、そのことに、自覚していましょう。
そういうときに体がどんな反応をしているのか、自覚しながら、情報をとりいれる、という習慣をつけると、よいと思います。
情報に取り込まれすぎずに、時々、ちょっと距離を置いたり、間をとったりしやすくなる、という効果もあります。

それは必ずしも情報から目を背けることではなく、自分自身の反応を自覚しながら、適切な距離で情報とつきあうということです。簡単なことではありませんが、今の時代には必要なスキルではないかと思います。

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ここまで、携帯やスマートフォンを見ることに関して、腕をどう使っているかということが意外に大事だという話でした。では、見るという動作そのものはどうでしょう?

見ようとして、顔を携帯のほうに無意識に近づけていたでしょうか?

そうしなくても、見えるかもしれませんね。
遠くて見えないから、必要があって近づけていたというより、携帯の画面という刺激に反応して、顔を近づけていたかもしれません。

それに気づいたら、離して必要な距離を取る、ことが大事だけれど、無理やりひきはなそうとすると、またすぐに元に戻りやすいかもしれません。そういうとき、意識するためのヒントがいくつかあります。

・首の楽さ、自由さを思い出します。
・頭の奥行きを思い出します。
・頭の上後ろを思い出します-そこに、脳の視覚野があります。見るという動作を実際に行っている部分です。
・目玉を通して光が入ってきて、その光と影のコントラストや、色や形の情報が、視神経を通って脳の後ろまで届き、そこで認識をしています。
・だから、こちらから見に行かなくても、光の情報が入ってくるのを受け入れればいいのです。

こういうことを意識してみたら(意識するつもりになってみたら)、もうすでに、画面の情報という刺激に反応しすぎる癖はどこかに行ってしまっているかもしれません。

携帯やスマートフォン、パソコンは、平べったいボディのなかに、たくさんの情報が入っていてまるで一つの世界を形成しているかのようです。なので、圧倒されそうになるのも無理もないかもしれません。
でも、あなたの脳も、それに負けず劣らずたくさんの情報が入って交信し続けている一つの宇宙なんですよね。

アレクサンダー・テクニークlittlesoundsでは、東京と神奈川で個人レッスンを、それぞれ週に3日づつ行っています。
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