ハードル選手の為末大さんが、ツイッターにこんなことを書いていました。
「グラウンドにパラリンピアン(パラリンピックの選手)が多い。どこかが動かなかったり、どこかが切断されている人は左右前後対称という意味でアンバランス。だけど彼らはそのアンバランスの中にバランスを見いだそうとしている。自分の中心を探る作業。
僕は右のふくらはぎが太く、左の大腿前面が太い。右で蹴って左で支える動きをするからだ。若い時、両足を同じ動きにしようとしてスランプにはまった事がある。人はそもそも偏っている。大事なのは偏りを生かす事。それをパラリンピアンから学んでいる。」
ほんとにそうだと思います。
アレクサンダー・テクニークのレッスンに来られる生徒さんにも、「偏りを矯正しないといけない」、とか、あるいは、「真っ直ぐにしないといけない」、と、最初、思っておられる方がいらっしゃいますが、偏っているかどうかが問題なわけではない。偏りを生かすことのほうが大事。
まあ、自分の中心が見つかり、バランスが取れることによって、結果的に偏りが減る場合もあるのですが、それは、あくまで結果として起こること。
偏りをなくすことを目的としなくていい。
あと、レッスンのあと、「背骨が真っ直ぐになったような感じです」と言われることも多いのですが、
その「まっすぐ」というのは、棒のように真っ直ぐで、曲がっていない、というわけではなく、上から下までのつながりができた、統合が起こった、というときの感覚なのではないかな、と思います。
なので、「真っ直ぐになったような感じ」で、それが、よい感じだったとしても、実際、真っ直ぐなわけではない。それを再現しようとして真っ直ぐにしよう、としてしまうと、おかしくなってしまう。
背骨は、カーブがありつつ、上から下までつながりをもって統合している。
「アンバランスの中にバランスを見いだそうとする。自分の中心を探る作業」
まさに、それだと思います。
そしてそれは、固定したものではなく、つねに動いて変化しているもの。