先日のブログに、「意識する」ということについての文章を書きました。
そのなかで、意識しようとして、「意識すること」以上のことを、やりすぎてしまう場合がある、ということを書きましたが、「意識しようとしすぎ」と、「意識しようとしなさすぎ」のバランスというのは、なかなか大きなテーマなのかもしれません。
自分自身について、なにか変化を望んでいるとき、
「意識する」ということは、やっぱり必要なことだし、大事なことです。
でも、なぜかそれをやりすぎてしまって、硬くなったり、逆効果になってしまう。
あるいは逆に、意識しすぎてもうまくいかないからと、あきらめてしまう場合もあります。
「意識してもかたくなってしまうだけだから」、そして、
「これは長年の性格だし、性格は変えられない」
「生まれつき○○だから、しょうがない」「昔からいつも、ずっとこうだったから」「今の状況が大変だから、しかたがない」
それぞれ、もっともな理由はあるし、なかには本当に仕方のない状況の場合もあると思います。
でもそんなときでも、自分のなかから、少しの変化を起こすことができる可能性は、あるかもしれない。
その可能性が、今はまだ具体的には形として見えなくても、可能性の萌芽としては、手元に残しておいてはどうかな?と思うのです。
私はどうも、「意識しすぎ」と「意識しなさすぎ」には共通点があるのではないかと思います。
それは、早く結論を出そうとしてしまう、ということではないでしょうか?
なりたい自分の姿に、一足飛びになろうとしてしまう。
あるいは、どうせそれは無理だから、と、早くにあきらめてしまう。
その気持ちはとてもわかるし、私自身も、そう思ってしまうときはあります。
でも、少しそういうふうに結論づけるのを保留して、自分自身の観察者になってみる、そういうときがあってもいいんじゃないかな、と思います。
その観察者は、批判したり、良い悪いを判断したりせず、ただ、好奇心をもって、観察してみる。
ふだんだったら、うまくいかない自分自身にイライラしてしまうかもしれませんが、だれか第3者になったようなつもりで、観察者になって、みてみると、なかなかおもしろいものだと思います。
これを読んで、「瞑想みたい」と思われた方もいるかもしれません。
私自身は、瞑想の考え方は好きですが、じっとして瞑想するのは、大きな声では言えませんが、あまり得意ではありません。(でもだからこそ、たまにはやる必要があるな、とは思って、たまにやると、効果を実感します。本当はもっとやるといいのかも?)。まあ、私のことはともかく、でも、アレクサンダー・テクニークも、ある意味、動きの中での瞑想といえるのかもしれません。
アレクサンダー・テクニークを使って、仕事をしているときや、人と話しているとき、歩いているとき、音楽をたのしんでいるとき、などなどに、そこに瞑想の質をもってくることができるのではと思います。
アレクサンダー・テクニーク的に観察するときのコツのひとつは、その動きに入ろうとするときに何が起こっているかを、観察することです。
たとえば、コンピューターに向かっているときに、ひどく疲れる、という人だったら、最初にコンピューターの前に座って、コンピューターをひらき、手をキーボードに持っていこうとするまでの動きを観察してみる。
一度に全部を観察しなくても、そのなかのひとつの動きを観察するのでもかまいません。
とにかく、その行為のなかに入ろうとするその前の動きを観察してみるのは、自分の反応のパターンから何かヒントを得るのに、とても役に立つと思います。
もうひとつは、部分ではなく、自分自身全体を観察することです。
体のどこか~人によって肩であったり、腰であったり、そしてそれが左側であったり、右側であったり~が、いつも痛くなりやすい、または硬くなりやすい、ということに気づいている人は多いと思います。
でもそれで、その、痛かったり硬かったりする部分だけに焦点を当て続けすぎないほうがいいと思います。
いったん、それに気づいたら、その箇所からひとまず離れて、全体をスキャンするように観てみるか、あるいは中心の頭~背骨全体~骨盤~と、観てみてください。
部分に異常感が出るのは、自分全体をどう使っているかの現れなので、自分の全体を把握しておいたほうが、より根本的な変化につながりやすいと思います。木を見るだけではなく、森全体を見る、ということですね。
自分全体、というからには、物理的な体だけでなく、心理的、精神的なパターンにも気づくかもしれません。体と心はひとつのものなので、それも大切にしながら、体のことと、心のことと、行ったりきたりしながら、観てみるといいと思います。
「良い」「悪い」はないことなので、楽しんでやってみてください。
アレクサンダー・テクニークlittlesoundsでの、アレクサンダー・テクニークのレッスンのスケジュールはこちらをご覧ください。