癖に戻ることを恐れない。

初めてレッスンに来られた生徒さんからときどきこんな質問を受けます。

レッスンを受けたあと、3日ぐらいはとても軽やかで、よい状態だったのですが、その後、元に戻ってしまったように思います。どうしたらいいでしょうか?

これについて、答えてみますね。

まず、レッスン後の”感覚”は、時間が経つと薄まるのが普通ですが、それは体験が体に馴染んできたということでもあるし、”元”に戻ったというわけではないと思います。

新しい体験をした後は、自分が普段の癖の方向に行こうとするのが、よりはっきりと、感じられると思います。つまり、今までは気づかなかった「普段の癖」への自覚が目覚めてきている、と言えると思います。。それが自覚できるのは、よいことです。

今までの人生で、年月をかけてつちかってきた癖は、やはり、根強いので、たとえ、その癖が今は必要なかったり、”やりすぎ”であったとわかった後でも、いつもの慣れ親しんだ癖に戻ろうとする力ははたらきます。

そうだとしても、レッスンで、古い癖をとりはらった新しい自分の使い方で存在(being)した体験を、あなたはどこかで覚えています。ちょっとしたきっかけさえあれば、それを思い出すことができます。

”三歩歩いて二歩下がる♪”と、古い歌にあるように、二歩は下がっても、元の場所に戻ったわけではないし、次の三歩進めるのは、最初の一歩を踏み出すよりずっと楽です。

レッスンで新しい自分の使い方を体験したことで、いつもの自分の癖をより鮮明に認識できるようになっている、ということだと思います。つまりそれは、チャンスです。いつもの癖が癖でなくなるための、最初の一歩です。自分がいつも自分をどうやって使っているかということへの気づきが生まれたことで、もう半分はその癖を手放していると言ってよいと思います。

癖に戻らないように体を固めてしまわないようにしてください。体を固めて”よい姿勢”をつくろうとするのは、また新たな癖を作り出すことにしかなりません。

癖に戻ることもできるし、そこから出ることもできる、という柔軟性が理想です。そうなったら、それはもう癖ではなくなっていて、自分の使い方の選択肢のひとつとなっています。

(長年、体を固める癖があった人の場合は、レッスン後、痛みが前より鮮明になってきたり、体の固めていた部分に重さを感じる場合もあるかもしれません。たいていそれは、すでにあった痛みや重さが、表面に浮上してきたものです。もう3日ほど、様子を見てみてください。その後、また痛みがだんだん減ってきて、軽やかになってくるなど、変化してきます。

アレクサンダー・テクニークでは、その人のそのときの許容範囲以上に、無理に動かしたり、解放させたりすることはないので大丈夫だと思いますが、もし痛みや重さが起こって心配な場合には、ご相談ください。)

次に、「手放したい癖にまた戻ったことに気づいたとき、自分で何かできることはありますか?」ということについてですが、
長くなったので、分けて書きますね。こちらをどうぞ → レッスンとレッスンの間に、家でできること~習慣的反応に気づいたら

私(石井ゆりこ)のアレクサンダー・テクニークのサイトはこちらです。

Share Button

  

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です