座り仕事で体全体を使う~骨盤のことなど

何かをやるとき、「からだ全体で行う」ということが大事です。

たとえば楽器を演奏する場合でも、パソコンに向かって仕事をする場合でもそうです。

たとえばパソコンに向かって仕事をする場合、顔がパソコンのほうに吸い寄せられるように近づいて、体のほかのところはおろそかになっている、ということはよくあるのではないでしょうか?

単に姿勢を正す、ということではなく、体全体が、見ることをサポートして、腕がタイピングすることもサポートしている、という意識が大切です。

座り仕事で「体全体を使う」ことを考えるときに役に立つのではないか、ということが、前に書いた、頭と背骨の上向き方向(プライマリー・コントロール)と、骨盤のことです。

座る(側面)体の骨や、構造がどうなっているか、というようなことは、
かならずしもすべて頭の知識として知っていなくても、
体が自分でコントロールしてくれるのにまかせていれば大丈夫で、
知らなくても、体のデザインを邪魔していなければ、本来それでOKなのですが、
知らないうちに起こった頭での思い込みが、体の使い方を制限してしまう場合があります。
そんなときに「からだの地図を見直す」(”ボディ・マッピング”といいます)ことが役に立つと思います。

骨盤(背面)さて骨盤は、逆三角の形をしていて、骨盤の一番底、左右二つ分かれている、それぞれの先端の部分を、坐骨(ざこつ)といいます。
座ったとき、この坐骨の方向に重心がおりてくるのが、体のデザインにとって無理がない使い方です。

BlogPaint骨盤全体は、後ろから見ても逆三角ですが、ここでは側面から見てみましょう。側面から見てもやっぱり逆三角で、その先端が坐骨です。
けっこう前の方にあるのが、意外に思われる方も多いのではないでしょうか?
足のつけねの下あたりですね。

そう、足の付け根は骨盤の底よりも高いところにあるのです。
なので、座っていても、足は自由に動かすことができます。
骨盤の左右、真ん中へんに、ソケットのようにくぼみがあり、そこに足の骨の先がボールのように収まっていて、そこからさまざまな方向に動くことができます。

よく混同しやすいのが、尾骨(びこつ。尻尾のように背骨の先端にくるっと巻いている骨)を、坐骨と思っている方が多いようです。尾骨は骨盤の一部ではなく、背骨の一番下にある仙骨の一部で、骨盤全体でいうと後ろのほうでバランスをとっています。
これを坐骨だと思ってここに重心を落とそうとすると、骨盤を後ろに傾けなくてはならず、バランスがとりずらく、また猫背になりやすく、おなかを圧迫してしまいがちです。

そうなのです、「猫背」は骨盤の使い方から来ている場合が少なくありません。

尾骨には、重さをかけないで、自由にしておいてあげてください。
なんせ、昔、尻尾だったところですから。

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ときどき、「坐骨の方向に重心をおろすと、坐骨が椅子にささって痛い」という方がいます。
重心をおろすために、坐骨に重さをおしつける必要はありません。

重心が下向きに降りてくるときには、
同時に上向きの方向も働いています。

重心が降りていることと、重さを下向きに押し付けていることとがちがいます。
重心がちゃんと降りているときは、むしろ軽やかな感じがすることが多いです。

自分が、坐骨に重さを押し付けてしまっているな、と感じたり、
骨盤を押しつぶしてしまっているかも、と感じたら、
上向き方向を思い出してください。
背骨にそって胴体全体が上方向に解放されている、と思ってみてください。

上向きの方向が働いていると、重心は下に降りてきます。

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正しい位置がどこかは、あまり気にし過ぎなくてよいです。
また、正しくしよう、とも思わなくてよいです。
もし違和感があったり、納得ができる位置関係が見つからなくても、意識を向けてみることだけで、まずは十分です。
意識を向けて、
「骨盤ってよくわからないけど、たしかけっこう立体的なんだよね」
などと、骨盤の存在を認識することが大事です。
認識することで、動くようになり活性化してきます。
すぐに答えを見つけようとせず、ときどき、からだに「問いかけ」をしてみてください。

それと、位置よりも大事なのは、全体の関係性です。
どこかの部分を意識した後は、からだ全体のバランスに戻って、部分と全体の関係性を見てみる、ということを気をつけてください。ひとつの部分だけに意識を集中させしぎないように。特にからだの上のほうと下のほうに両方、意識があることが大事です。
”点”の意識になりやすい人は、”点”より”線”、さらにはからだを立体として広く奥行きのある意識の持ち方をしてみてください。

ほどよい関係性が見つかったら、バランスが取りやすく、安定してかつ軽やかな感じを体験できると思います。

そこから、腕を動かしてみてください。腕も軽やかに動かしやすいと思います。

アレクサンダー・テクニークlittlesoundsのサイトはこちらです。

言葉で説明できることには限界があるので、興味をもたれたら、レッスンを体験してみてください。

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