うたうレッスン

きのうの町田でのアレクサンダー・テクニーク・ワークショップでは、
「音楽が好きで、うたがうたいのだけど、何からはじめたらいいかわからない」という方がいらしていました。
「昔とくらべて全然声も出なくなっちゃったから、ボイストレーニングからはじめたほうがいいのかしら?」なんて。
私は、どんな曲が好きなのか、聞いてみたら、しばらくは、「全然自分は歌えないし…」などと言われていたが、アイフォンに入っている曲を聞かせてくれました。

まずはその曲を歌ってみたらいい。歌っているうちに、声も出るようになってくる。まずは自分自身のために、録音に合わせてでよいので、何度も歌うといい。録音に合わせて、あるいは、音が高すぎるなら、歌いやすい音の高さに変えて、アカペラで歌ってもいい。

「声が出ないから…」と言われていたが、歌っていただくと、あともう少し、
歌うことへの躊躇がなくなって、がんばりすぎが少なくなったら、高い声もちゃんと出そうな感じでした。
後半になるほどに、声も出てきていて…。

コツは、「出そう」とがんばるかわりに、自分のなかの声の通り道を意識すること。

声は、口だけで出すものでも、喉だけで出すものでもない。
体全体で出すもの。

空気は、肺にある。(肺はけっこう大きい。後ろのほうまである)。声を出そうとしたら、肺の空気が上へと押し出されてあがっていって、口腔(口腔もけっこう大きい。鼻の奥まである)まで届いて、それから唇から外に、前方に出ていく。

体の中、広い範囲を上向きに動いてから外に出る。
そして空気は体の中を、けっこう幅広い空間を通っていく。

そんな、空気の通り道を意識すると、空気の動きがスムーズになる。喉が振動することも邪魔しなくなる。

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さらに、体にそなわっている、空気を送りだすための筋肉がスムーズにはたらくために、モンキーの姿勢になってみて骨盤を思い出したり、手や足を動かすことも、やってみて、また歌ってもらいました。
声は少しづつ、もっと出るようになってくる。

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こんなレッスンも、アレクサンダー・テクニークのレッスンのなかでやることがあります。毎回、アイフォンで曲を流しながら歌う方がいらっしゃいます。

うまく歌うかどうかよりも、自分のなかにすでにある声を、うたとして表現する。それは、案外すぐできることだったりするかもしれません。

「歌が好きだったはずなのに、どう歌ったらいいか、わからなくなってしまった」という方、「歌は好きなんだけど、苦手で…」という方は、まずは、誰かの評価を気にしなくていい、ひとりでもできるところから、はじめてみるのもいいと思います。それは、自分の体全体を生き生きと使うことにもつながります。

アレクサンダー・テクニークのレッスンのなかでやるときは、私もそこにいるわけですが、私は歌の上手下手を評価する役割はないので。その人全体を、どうやったら、やろうとしていることに生かせるかを、一緒に探すお供です。

うたに関してはとくに、私自身、「歌が好きなのに声が出ないから…」という、自分自身に対する認識が、アレクサンダー・テクニークに助けられて、変わったので、それをほかの人にも伝えられるのは嬉しいのです。

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