続:姿勢についてのアレクサンダー・テクニーク的考え方(作業中、演奏中の姿勢について)

先月書いた、「姿勢」をよくすることについての(私にとっての)アレクサンダー・テクニーク的考え方の続きです。

先月の話をまとめると
よい姿勢、本来無理がないもの
そして、よい姿勢は、動きのなかにあるもの

そして、デスクワークや、作業中の姿勢、楽器を演奏しているときの姿勢についてまた書きたいというところで終わっていたので、続きを書こうと思います。

「よい姿勢」というと、イコール「まっすぐ」をイメージしている人が多いかもしれません。
私は、そうとは限らないと思うのです。

たとえば机の前に座ってペンでものを書くとき、
「まっすぐ座ろう」ということを意識して座り、
それからペンを持って紙に向かうと、
「ペンを紙に向かわせる」動きと、「座っている」という動きが一致していない、べつべつのものになってしまっていることがあります。
そうすると、「書く」動きを、手だけでやることになってしまいやすいのです。

手だけで「書く」ことをやると、手によけいな力が入りやすく、力が入っているわりにはその力が対象のペンと紙まで届かなくて、力強い文字が書きづらくなったりすることがあるのです。そして、そういうときは、肩などが痛くなったりしやすいのです。

手だけで書く代わりに、体全体が書くことに参加する。
それを意図してみると、どうでしょうか?

足が地面に着いていて、上体は、手を紙に持っていくのに必要なだけ、骨盤から少しだけ傾斜することができます。そのとき、顔だけとか、胸から先だけ前傾するのではなく、骨盤から前傾することを意識してみると、どうでしょう。そして骨盤は、後ろだけでなく前まであるので、骨盤の前も含めて意識してみましょう。(文字だけで説明するのはちょっとわかりにくいかもしれませんが…。)

まあ細かいことはともかく、「体全体が書くことに参加する」、それが、書くことのための、いい姿勢。私はそう思っています。

楽器を演奏するのであれば、「体全体が楽器を弾くことに参加する」
そういう観点で、姿勢や動きを見直してみてはいかがでしょうか?

そしてそのときの角度は、上に書いたように「手を紙に持っていくのに必要なだけ」。

「何をやろうとしているか」によって、姿勢は決まってきます。

自分が何をやろうとしているかが明確だと、それに体が反応してくれて、必要な動きが起こり、結果、姿勢も決まってくるのです。

案外、「字を書く」というようなシンプルなことであっても、いざとなると、自分が何をしようとしているのかを忘れて、無自覚なままの癖に入っていることがあります。

(ちなみに癖が悪いと言っているわけではありません。癖になっていることでよいこともたくさんある。ただ、改善したい何かがあるとき、どう癖を見直したらよいかという話です)。

それを改善したいときには、形として姿勢をとらえて自分を型にはめるのではなく、もう一度、自分が何をしようとしているか意識的になって観察してみる。そうすると、自ずと見えてくると思います。
少しスローダウンして、ゆっくりやってみるのもいいです。

↑石井ゆりこのアレクサンダー・テクニークのレッスンでも、上記のような観察のプロセスをサポートすることをやっています。興味のある方はどうぞいらしてください。

アレクサンダー・テクニークlittlesoundsでは、東京と神奈川で週3日づつ個人レッスンを行っています。
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