音楽大学で「音楽家のための心身論」という名前で週一回の授業を受け持つようになって4年目がもうすぐ終わります。ひとりひとり観られる人数がよいので定員20名にさせてもらっているのですが、毎学期、嬉しいことに希望者が多く、抽選で選ばれた、ピアノ、指揮、声楽、管楽器など専攻の4年生の学生さん方に教えています。週1回14回の授業なので、徐々に生徒さんのなかで経験が深まって変化していく様子が見て取れて、私もやりがいがあります。
「演奏のときに、手や指のことは考えても、それ以外の体のことを考えたことがなかった」と言う学生さんも多くいるので、体に意識を向けることの、演奏への影響を実感できるということだけでも大きな意味があるようです。
音大生なので、みなさん演奏は基本的に上手。
でも、ひとりひとりが、さらに自分のからだとこころに対する信頼感を、自分の核にもつことで、持てる才能をさらに生き生きと伸ばしていったり、また壁にあたったときにも耐えて乗り越えていける知恵を持って、今後の人生につなげていっていただけたらと思うのです。
授業は、学生ひとりひとりの今の課題や気づきを聞きながら、進めていっています。その内容を、来年度のシラバスを書くにあたって、振り返ってみました。
“主な授業内容:
・頭・首・背骨、中心軸と四肢
・ 股関節、上腕関節、ひじの自由さと腕の自由さ
・姿勢は、動きのなかにある
・上に向かってゆるむ、中に向かって広がる
・ 緊張と、体の収縮、そこからの解放
・立つ、座る
・楽器を構えるという動きを見直す
・指先までの意識と中心軸
・支え―地面から力をもらう
・必要な力はどのくらいかという観点
・刺激のなかで、自分軸を持つこと
・脱力と緊張について
・体の緊張と、感情的な緊張の関係について
・体のデザインにそった呼吸と発声
・「身構え」を抑制し、生き生きとした表現に体をひらく
・音の強弱、音色、テンポのコントロールとからだ
・拍、リズムの感覚を体全体でとらえる
・部分への注意力と、全体への意識ーズームイン・ズームアウト
・楽に見る(楽譜を、指揮者を、観客を見る)
・ 情景を思い描く~ヴィジョンが演奏をリードする
・演奏の意図をクリアにする、体が意図についていく
・人前でのパフォーマンスー緊張を味方につける
・メンタルのゆれとのつき合い方
・結果の先取り(エンドゲイニング)をやめることの効果
・多様な楽器やジャンル等を専門とする者が一緒に学ぶことで、人間と音楽演奏への理解を深める
・建設的な休息
箇条書きにしてみると、こんな感じになりました。
みなさんにも、興味あるトピックがあったでしょうか?
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