楽な姿勢、大地との関係、重力との楽な関係

Q:レッスンで得られた、楽な姿勢、動きに入りやすい姿勢を身につけたいのだけど、家で自分でやろうとすると難しいです。

初心者の生徒さんによく聞かれる、このことについて書いてみようと思います。
楽な姿勢ー立っている姿勢と、座っている姿勢と共通しますが、後でそれぞれについて書いてみますね。

質問してくださった生徒さんに、家でどのように姿勢について意識しようとしているかと聞いてみると、

「レッスンのときに前に行くと楽だったので、前に行くようにしているんですが、レッスンのときのように楽じゃありません」

などと言われたりします。

うまくいかないのは、「前」というのを、正しい位置として覚えようとしているからかもしれません。
位置や、形として姿勢を覚えようとするとうまくいかないのです。

体というのは、型にあてはめるようにはできていません。

姿勢を見直したいときに、体を「型」のようにとらえるかわりに、環境とのよりよい関係を見つける、そんなつもりで、自分の体のあり方を見直してみると、どうでしょうか?

大地との関係、重力も、環境の大事な要素です。
私たちはみな、大地に支えられて生きています。

そんな、環境との関係を見直すためには、視覚的な、見た目ではなく、体の感覚に耳を傾けることが鍵となります。

【立っている】

立っているときに「前に行くと楽になった」というのは、重心との関係、重力との関係が変わったからなのです。

もし、立っているときに、かかとの上だけにしか重心が下りておらず、土踏まずが縮こまっていたり、足指が浮いていたとしたら、体は全体として、あまり安定しません。すると、首や、肩や、腰で、自分を支えようとするはたらきが起こります。それで、首や、肩や、腰によぶんな力が入るようになってしまうのです。

頭から足までの体全体の重心が、スッと地面に下りていくような重心のとり方ができるといいですね。そうなれば、首や、肩など、体の上のほうに自分を支えさせなくてもいいようになります。

頭と背骨、体全体を、重心との関係を思いながら、前後にゆらゆら動いてみましょう。
地面/大地を感じられるのはどのへんでしょう?

重心がスッと地面に下りていって、地面からサポートされる感覚―その感覚は、足でというよりむしろ、胴体が頑張らなくてもよくなって、ふっとゆるむ、そんな感覚で感じられることでしょう。
足はむしろ、軽やかに感じられるかもしれません。

 

【座っている】

椅子に座っているときも、同じように重力との関係を見直すことができます。

座っているとき、座面に触れている座骨を通して、上半身全体が重力に支えられています。
ですが、骨盤が後ろに倒れて、お腹が後ろにひきこまれて縮んでいると、うまく重力の支えを受け取ることができません。
それで背中や肩回りで自分を支えようとする働きが起こり、肩や背中で、よけいに頑張る必要が出てきます。

お尻の下に手を置いてみて、左右それぞれ、座面に触れるところに骨があるのを確認しましょう。それが座骨です。
座骨を中心に、骨盤・背骨・頭を、前にほんの少し傾けてみてください。
大きく動かさなくてよいです。時計の針で言うと1時か2時くらいに傾けて、12時に戻るようなふうに。
そんなふうに上半身を前に傾けて戻るのを、何度かゆらゆらと繰り返してください。

繰り返しているうちに、体の縦のつながりがはっきりしてきて、重心が下りてきて、同時に、がんばらなくても無理なく上方向にもすっと伸びるようになってきます。

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