どのような姿勢や状況でも、安定した演奏をすることができる体の使い方を学んでいる

どのような姿勢や状況でも、安定した演奏をすることができる体の使い方を学んでいる

20数年来の猫背と自己流の演奏姿勢による15年近くの月日が、ギター演奏時及び日常的に、どの程度体の誤用と不具合を起こしているか、またそれが精神にどれだけ影響を及ぼしているか、アレクサンダーテクニークを知り、実際にレッスンを受けるまではとても想像がつかなかった。

レッスンを受ける日まで、練習時は、気を抜くと腰と背骨は曲がり、首と肩は硬直し、腕は力み、足はしびれ、集中力などとても続かないような状態になっていた。

精神的にも、練習時やバンドにおける作曲時の失敗体験からくる恐れと、早く上手くならねば、良いものを作らねば、間違えずに弾かねば、など、功を焦る気持ちの蓄積により、心はどんどん委縮し、疲労ばかりが募っていたと思う。それでも練習をやめるわけにはいかなかった。

ごく身近な対人関係においてもその影響は現れていて、ある瞬間や言葉に過敏に反応して、急速に心が萎縮し体は緊張し、コミュニケーションを失ってしまうという事がたびたび起こっていた。自らが生んだ悪循環に陥ってしまっている事だけは分かったが、どこをどうすればこの状態が改善するのか、そもそも改善できるのか、全く分からなかった。

そんな中のある時、本屋で、「音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門」(ペドロ・デ・アルカンタラ著 小野ひとみ監訳 今田匡彦訳)という本を見つける。読んでみると、悪循環只中の自分の状態の一々が、誤った体と心の使い方の具体例として、そこに全て記されていた。目から鱗を落としながら読んで、そこから最初のレッスンまでは一週間ぐらいだったと思う。

初回のレッスンで、仰向けに寝て行うワークが終わったときの驚きは忘れられない。力の全く加えられていない先生の手が、私の体の各部位を、首を中心に行きつ戻りつしながら、順々に動かしていく。力によって押したり引いたりするわけでなく、体が動くように動かしているという感じで、非常に静かにワークは進められていく。
すでにそのワーク中も、途中から体がバラバラにされていくような感覚に「これはすごいな」と感じていたが、いざ終わって立ち上がってみると―上から引っ張られているかのように体が軽くなり、四肢が伸び、全身が温かくなっている。ワーク中は体の各部位がバラバラにされているように感じたが、立ち上がると、それを統一するようなエネルギーが感じられる。 そして何より驚いたのが、「背中が生まれた!」とその時感じたぐらいに、首・肩・背中が解放されている。背中の厚みや、広さ、肩胛骨の動きなど、それを目ではなく内側から感じることができたのは、本当に驚きだった。 その日家に帰ってから、その感覚的な変化が、外形的にも現れていることを知った。

一回目のレッスンの衝撃から、一ヶ月に平均3回の頻度で通うことに決めた。
最初の2ヶ月近くは、仰向けに寝てのワーク、椅子に座る、歩くという基本的な動作を、先生の手の導きとともに繰り返す。
20年来の猫背は初回のレッスンで解消されたものの、椅子に座る、歩く、という動きがどうしても出来ない。椅子にちゃんと座れないのでは、椅子に座ってさらにギターを弾くなど到底できるはずはないと思い、一時期はギターを弾くのを止めてひたすら椅子に座る動作をしていた。

4回目のレッスンだったと思うが、先生の手の導きはあったものの、「椅子に座った!」と感じる瞬間があった。その時は、生まれてはじめて椅子に座ったような気分だった。仰向けに寝てのワークの直後だった事もあり、体が活性化していたとはいえ、これも相当な驚きだった。体のどこにも緊張や負荷が感じられず、ストンと重力が無くなったかのような軽さがあった。

いざギターを抱えてのレッスンは、通常の仰向けに寝てのワーク、立った状態でのワーク、椅子に座るワークを行った上で行われた。
毎回、10分から15分の時間で、座骨で座る事による足の自由の確保と姿勢の安定、胴体の裏側から肩、肩から腕、そして指先へ通じる支えの感覚、肘の自由の獲得、胴体そのものへの意識、そしてそれらを支える、首・肩・背中の意識の方向付けを、少しづつ教わる。

その後、早いパッセージを弾く時や音量を出したい時のエネルギーをどこから得るか、安定した望ましい音を得るための、腕と手の安定方法や指の使い方、肘の使い方等を学んだ。

特に、肘の果たす役割と使い方を知ったのは大きかった。

4ヶ月目あたりからようやく理解でき始めたのは、ある一つの固定した良い演奏姿勢というものを追求しているのではなく、どのような姿勢や状況でも、安定した演奏をすることができる体の使い方を学んでいるのだ、ということだった。

これまでに現れた身体的な変化としては

・腰の痛みがなくなった
・肩こりしなくなった
・背中の厚みが増した
・背が伸びた
・椅子に座っての長時間の作業が苦ではなくなった

上から三つは、わりと早い段階で現れた。

日頃の演奏姿勢や、練習方法に疑問を持っている演奏者の方にももちろん、長時間同じ姿勢で作業をしなければならない方にも、効果があると思います。

 

(Y.Oさん ギタリスト)

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「ふらふらと立っている」とヴァイオリンの先生に注意されていましたが、今は安定感が出て、立ち方を注意されなくなりました。

「ふらふらと立っている」とヴァイオリンの先生に注意されていましたが、今は安定感が出て、立ち方を注意されなくなりました。

ヴァイオリンは立って演奏する楽器ですが、四月の段階では演奏をする際に「ふらふら立っている」と度々注意されていました。自分では全く意識していなかったので、何を注意されているのかよく分からず、どう直していいのかも分かりませんでした。
また昔から姿勢が悪く、夜仰向けになると腰が痛むのが悩みでした。歩き方にも少し問題があり、何もない所でつまずくこともよくありました。

アレクサンダー・テクニークで最初に自分の正しい姿勢を知った時には、その自然さにとても驚きました。そして今まで自分が楽だと思っていた姿勢が体にとっては負担のかかる姿勢だったことに気付きました。
最初はそれがわかっても、次の週にはまたすべて忘れてしまっていたり、演奏に反映しようとするとなかなか難しかったのですが、回数を重ねるうちになんとなくそれが身についていったように思います。

今ではヴァイオリンのレッスンの際に立ち方を注意されることはなくなりました。自分ではそこまで意識していないのですが、周りで見ている人によると、立ち方に安定感が出たそうです。そのせいか、音量も出るようになったように思います。

またアレクサンダー・テクニークを受講したことで、自分の体に対する興味がわきました。最近ヨガを始めたのですが、アレクサンダー・テクニークに通じるものがある気がします。体を不自然な形で使う職業柄、自分の体と向き合うことの大切さを改めて感じています。

(Y.Kさん ヴァイオリニスト 大学院生)

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相手からどう思われるかということが気にならなくなり、ていねいに接すればいいんだと思うようになりました。

相手からどう思われるかということが気にならなくなり、ていねいに接すればいいんだと思うようになりました。

アレクサンダー・テクニークのレッスンを受け始めた当時、学校に通って創作を学んでいました。思うように作れず、焦るばかり・・・。ムリをして、とうとうからだを壊してしまいました。そのとき、今までの価値観では行き詰ってしまう、からだの使い方を学ばなければ・・・と思い、レッスンを受けてみようと思いました。

レッスンを受け初めの頃、「座る」「立つ」のワークで、「足に力が入っていて地面から少し浮いているようだ」というようなことを言われ、それって、わたしの生き方と同じだ!とハッとしました。からだの使い方と生き方は同じなんだなぁ・・・。がんばりすぎて、じぶんやまわりとしっくりこない感じを言い当てられた気がしたのです。

レッスンを重ねるうちに緊張がとけて、余分な力が抜けていきました。自然体で動けるようになり、人とつながりやすくなったと思います。相手からどう思われるかということが気にならなくなり、ていねいに接すればいいんだと思うようになりました。また、自分の気持ちを自然と口に出せるようになりました。

こころとからだがつながると、色々なものとつながれる。じぶんとつながり、人とつながり、今とつながり、世界とつながる。-そんなことを、アレクサンダー・テクニークは教えてくれました。 ちゃんとここにいる-そのことが、何よりもうれしいです。

アレクサンダー・テクニークは、緊張しやすい人や、無理をしがちな人が学ばれると、いいかもしれません(実際、わたしがそうでした)。もっと力を抜いていいんだよ、焦らなくていいんだよ、ということを教えてもらいました。 いつのまにか、からだから緊張や焦りが消えていました(たまに緊張することはありますが、以前とくらべて、とても楽になりました)。 本当は自然にしているだけでいいんだなぁと思います。

(Mさん、神奈川県、30代)

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腕が長く感じます。 ニュートラルな位置に居る自分のポテンシャルの高さに驚きます。

腕が長く感じます。 ニュートラルな位置に居る自分のポテンシャルの高さに驚きます。

アレクサンダー・テクニークは私にとって衝撃的でした。
ギターを弾くのがどれだけ楽になったかわかりません。
自分の腕が以前よりとても長く感じます。
声を出すのも「響かせよう、響かせよう。」と焦っていたのが、 習ったとおりにしていくと「あ、響いてる。」に変化しました。

また、驚いたのが会う人会う人「身長伸びた?」と聞いてくるのです! でも実際にはきっと身長は伸びていません。しかし確実に何か印象が変わったらしいです。

私 の場合は習ったことを音楽に還元していますが、アレクサンダー・テクニークはあらゆる道に繋がっています。 私が思うにアレクサンダー・テクニークは、自分の持つポテンシャルを 極めてニュートラルな位置まで持っていってくれます。 そしてその後逆に、ニュートラルな位置に居る自分のポテンシャルの高さに驚きます。 自然体でいる事がどれだけすごい事か少しだけわかりました。 まだまだこれからですけど。

(T.Kさん ギタリスト,シンガー 東京都 2005年)

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