『春は鉄までが匂った』

『春は鉄までが匂った』
2004
筑摩書房
小関 智弘

町工場に勤める職人をつづけながら物書きをしている人のことを聞いて前からこの著者のことは気になっていた。この本はタイトルにひかれたこともあって、とうとう買って読んだ。とてもよかった!

機械のツマミなどの、部品をつくるのも、花を育てたりするのと同じように、物にたいする繊細な気遣いがないとできない仕事。だからというのもあるのか、文章がとてもきれい。

私なんかは機械のことはぜんぜんわからないから、町工場がある町の雰囲気は好きだけど、それ以上のことはわからない。でも、本から職人さんの繊細な気遣いが、伝わってきて、ゆたかな世界に少し触れられるような気がして、どんどん読んでしまう。

3Kといわれるようなきつくて安い、不安定な仕事、でもなくてはならない仕事。そんな仕事を誇りをもって支えてきた人たちがいる。

ちいさな仕事を、ていねいにしようという気持ちになる。

著者の小関さんは、直木賞候補にもなって、「もう工場はやめて作家でひとりだちしたら?」と、何度も言われたそうだ。
でも、「自分にとって工場をやめて物書きだけをやるのは、パンツを穿かないでズボンを穿くようなもので、恥ずかしいし、落ち着かない」という。

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