古武術を少しかじっておりますが、稽古をどう進めて良いのか伸び悩んで居りました。

古武術を少しかじっておりますが、稽古をどう進めて良いのか伸び悩んで居りました。
知人の方にそんな話をしてみたら、「アレクサンダー・テクニークが役に立つかも」とおすすめ頂いたのが直接のきっかけです。

実際に受けてみる前にはレッスンは、参考書の問題集を解く様に、姿勢、歩き方、脱力の仕方・・・と次から次へと学んでいくものと想像しておりましたが、実際のレッスンは随分と異なりました。むしろ、そのような対処療法的発想を直す地道なレッスンでした。

細かいようであやふやで、あやふやなようで具体的と申しますか、なんとも形容し難いものです。奇跡やミラクルを起こすものではなく、むしろ、そういったものにすがる依存症を直すものでもあるように思います。

アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けたことで、自分の体の運用の癖と考え方の癖の双方に気づきやすくなりました。
体の運用が、考え方の問題とかなり根本を同一としているとも気づかされました。
一見難しそうですが、実は簡単なことです。でも、難しいことです。

わたくしは二ヶ月半の期間を掛けて、八回のコースを受講致しましたが、途中で、大きくこれだ!とつかめたものが失われたり、いままでの癖の延長で考え過ぎて、あらぬ方向に行ったりと紆余曲折致しました。それもすべて私の従来の癖から生じたのだと納得できるようになったのは大きな進歩です。

毎日のささいな動き-歩いたり、座ったり、ドアを開け締めしたり-の一つ一つが稽古になる・・・いまは以前よりも強くそのように感じて居ります。

古武術とアレクサンダー・テクニークは原理的に一緒と言ってよいように思います。
わたくしはアレクサンダー・テクニークを通じて、はじめて、古武術の師匠の言葉を自分勝手に誤解していたことに気づかされました。

人によって合うもの、合わないものがあるはずです。古武術の言葉や型の意味がすんなりと判らない時に、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けて、その共通性を考え・感じることで、ハタと理解がすすむ方も多いと思います。

師匠と相対で稽古することはいまは中々ないと思います。アレクサンダー・テクニークは教師との一対一のレッスンができますので、この点も得るものが大です。

勿論、古武術は刀や薙刀の運用等々を学ぶので、その具体的な技法はアレクサンダー・テクニークの世界では得るものではありません。ただ、大事なことは根本的な「原理らしきもの」なのだと思います。

筋力に頼ることの多い現代武道と古武術は違うもので、わたしも門外漢ですが、軸のぶれない反転、相手の力の利用等々、利用できることは多いのではないでしょうか?

そのほか、体を運用される方、音楽家の方、舞踏家の方は勿論、誰でも体を動かすのですから、あらゆる方に、アレクサンダー・テクニークは役立つと思います。

上に古武術の話を致しましたが、仕舞を習われる方は勿論、茶道、習字等々を習われる方にも、おすすめしたいと思います。我々が西洋の19世紀的な考えを受け入れてしまっている程度が強ければ強いほど、西洋人の開発したアレクサンダー・テクニークが役に立ちやすいのかも知れません。

心身並行論ですから、ビジネスマンの方にだって役立つこと大ですし、主婦の方にも、学生さんにも広くおすすめ致したく存じます。

特におすすめしたいのは、臆病なあまり他人を攻撃してしまう方や、ずるずると相手に依存してしまう方です(冗談抜きに)。

(Oさん、男性、2008年)

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